2022年ボーディングスクール訪問 The Lawrenceville School
Ten Schools / テンスクールズのほとんどのボーディングスクールがニューヨークより北のいわゆるニューイングランド地方に立地している中で、The Lawrenceville Schoolはニューヨークのマンハッタンエリアから高速道路で1時間半ほど南下したLawrencevilleの閑静な住宅地の中に立地しています。
多くのボーディングスクールが柵で覆われることなく自然の中に突如としてキャンパスが現れるというパターンも多い中でこの学校はしっかりとした正門があり明確に街とキャンパスの区切りがあるのは珍しっく、地形的にも山に囲まれているわけではなく、フラットな街中にキャンパスがあるため区切りがないとキャンパスと街の線引きが難しいのかもしれないのがその理由なのかもしれないといつも想像しながらこの校門をくぐります。
The Lawrenceville Schoolの基本情報を以下にまとめました。
総生徒数:819人(寮生566人、通学生220人
学年:9年生~PG年生
留学生(寮生)13%
受け入れ学年:5年生~9年
創立年:1890年
学校タイプ:共学
同じくテンスクールズのPhilips Exeter Academyがそうであるように、ハークネステーブルを主体とした授業を提供している学校として有名であります。 ハークネステーブルは単なる「少人数制」の授業とは異なります。少人数制の授業というと一般的に日本人的な感覚においては先生の目が行き届く、サポートがしっかりしているという風に捉えがちな部分があると思います。そのような側面も確かにありますが、ボーディングスクールにおいて授業のサポートはチューターやアドバイザーといった別のスタッフが別の場所、時間帯で行いますから、厳密には正しくありません。ハークネステーブルを用いた授業の最大の特徴は生徒達が主体となり、生徒達と先生がフラットな環境の中で時に与えられた課題を一緒に解決し、そして時に議論を交わしてお互いの知識を共有し、より高め合うための授業と理解をしてもらいと思います。従って、ハークネスメソッドにおいては、日本的な概念とは全く異なり、しっかりとした予習と学習したことを自らの意見として昇華していくというプロセスが不可欠となります。それを無くして授業に参加することはできません。ボーディングスクールにおいては授業に貢献する事が成績に大きく反映しますから、生徒達は授業前に必死で学習をして、ハークネステーブルを囲んで盛んに自分たちに意見を共有していきます。
ハークネスメソッドを採用する学校は一般的に授業で求めら得る生徒への期待値が高いとも言えると思います。そういった意味でも、コロナの影響で今年のSSATのスコア提出を必須とする学校がテンスクールズにおいても少数派である中で、The Lawrenceville SchoolがSSATのスコアを必須としているのは必然なのかもしれません。
学業において高い期待値があると同時にこの学校は非常に家族的な雰囲気も持ち合わせています。今回はコロナ禍の中での訪問だったので例外でしたが、通常はAdmissionオフィスに訪れるとDay Studentsの保護者が我々を出迎えてくれます。そしてとても和やかな雰囲気中でLawrencevilleの魅力について語ってくれます、そして保護者としての貴重な意見なども共有してもらえるのはこれから自分の子供を送り出そうとする親御さんに取ってはとても心強い機会だと思います。それだけに留まらず、Day Studentの生徒達は積極的にBoardingの生徒達を家に招いて食事会などの交流も行うようです。学校運営に保護者が積極的に関わる雰囲気を学校訪問の際に感じられるのはこの学校のユニークなポイントの一つです。
他のテンスクールズにはない特徴としてはプリンストン大学の近くということもあり、共同プロジェクトなどを行うチャンスもあるというところも特筆できる部分でしょう。
ニューイングランドの学校にあるエスタブリッシュメント的な雰囲気は希薄で家族的であり、様々な人種の生徒達がが偏ることなく通っているInclusionという側面からもとても魅力的な学校である事が伺えます。