留学を通して成長した子供との再会!トロント大学サマープログラム同行記 2023 (2)
トロントは日中でも曇りの日は肌寒いくらいの気温になります。
そういえば、以前の写真を整理していたらこんな写真が出てきました。
この写真は今私の滞在しているトロント大学の学生寮です。部屋は違いますが同じ建物です。
写真にある私のパソコンからの10年程前の前の写真であることをお分かりいただけると思います。(この頃はPCを持ち運べるだけで画期的なことでした。)
私もこのトロント大学のプログラムに関わるようになってから15年ほどの月日が流れました。今のこうして変わらずにこのプログラムに子供たちの同行&サポートができることは本当に幸運だと感じています。
プログラムに長い間関わっているととても多くの出来事が起こりますが、それが素晴らしい思い出に残るイベントになることもあります。そして今回の滞在ではとても嬉しい驚きの再会がありました。
夜も遅くになり、私が子供たちのその日の最後のサポートのために学生寮の入り口にいると、背後から「関根さん!?」と声がかかりました。子どもたちは部屋に戻っている時間で、予想もしていない方向からの声に一瞬戸惑いましたが、その声の主の顔を見た瞬間に思い出がとても鮮明に蘇りました。
それは、本当に懐かしい顔との再会でした。
今から8年前に私と一緒にこのトロントプログラムに参加をした女の子が20代半ばの立派な女性として私の前に現れたのです。彼女が私のことを覚えていてくれたことも奇跡ですが、こうやって学生寮の前で再開できたことも奇跡だったと思います。
短い間でしたが思い出話に花が咲きました。彼女は今、カナダのカレッジで勉強をしながら将来的には永住権の取得も目指して頑張っているとのことでした、そして彼女は、私を通して留学した子どもたちに対して、留学後後に一番に聞きたい質問、「この海外留学がその後の人生の影響にどんな影響を与えているのだろう?」についてもとても明確に、そして力強く答えてくれました。「このプログラムに参加したからこそ今の自分があります」と。
この言葉を聞いた瞬間は、本当に涙がこぼれそうでした。留学コンサルタントとして嬉しい言葉はありません。本当に長い間この仕事をやっていて良かったと、心から思える瞬間でした。
そんな彼女はこうも話してくれました。「教育って成果が出るまでに時間がかかるものですよね、留学が後々の人生にとても良い影響を与えてくれている、教育が人の人生の可能性を広げてくれるのは間違いないです。」と。そして、嬉しいことに、彼女も私と同じように教育業界に進むことを考えているそうです。
この話をしている時の彼女は本当にイキイキとした素敵な表情を見せてくれました。
この出会いは私に教育の本来目指すべき道筋を改めて、明確に照らしてくれるきっかけになったと思います。巷には「〇〇に合格するためのテクニック」なるものが溢れています。私もボーディングスクール合格への責任を負うコンサルタント故に、そのような打ち出し方でマーケティングをすることを考えたこともありましたが、いつも違和感を感じていました。
本来、教育とは早い段階で自分の興味関心を見つけて、それに対して一生懸命取り組み、自らの知的好奇心を満たしながら成長していく過程であると考えています。それが、合格するために「〇〇をやるべき」となると、そこには自主性よりもやらされている感のウェイトが多くなり、また、「勉強はテストに合格するための術であって、それ以外の何物でもない」というメッセージを暗に子どもたちに伝えることにもなりかねません。本来の勉強に魅力を感じられない、子どもたちは疲弊し、勉強に対するモチベーションが保てなくなります。これが大きく影響するのが大人になってからです。
私がプロフェッショナルとしてサポートするボーディングスクール進学はたとえ、難易度の高い学校であったとしても、実績の羅列、SSATのスコアをメインの評価基準とはしていません、あくまでのその子のポテンシャル、学習意欲、人間力=「伸び代」を評価しています。
子どもたちに他の子供同様に型にはまった「やるべきことリスト」をこなさせるのではなく、その子一人ひとりの「目の輝く瞬間」「自信に満ちた表情になる一瞬」がどこにあるのか?彼ら一人ひとりにある「やる気トリガー」、それを探る作業をすることが、テクニック本に書いてあることを頑なに実行するよりもとても重要なのです。
私が再会をしたこの女性はトロント大学での経験がトリガーとなって、自分の進むべき明確な道筋を見出し、今はイキイキとその実現に向けて頑張っています。彼女は思い出させてくれました。留学は留学自体が目的なのではなく、留学を通して身に付く総合的な人間力を糧に、未来の自分の可能性を広げることが本来の目的であることを。そして学校選びも同じく、学校に入ることが目的ではなく、より可能性を広げてくれる手助けをしてくれる学校を見つけることが目的であることを。
私とこれから関わりを持つ生徒たちが、この子と同様に人間として魅力的な大人に成長していくことを願うと共に、それが私には出来る!という自信を再確認させてくれる出会いとなりました。