留学コンシェルジュ

トロント大学サマープログラム同行記 2023(1)

真夏のトロント大学のキャンパスでこの記事を書いています。

トロントは夕方なれば、半袖では少し肌寒いくらいの気温になるので、トロント大学のキャンパスの外のテーブルで夕陽を浴びながら仕事をするのはとても気持ちが良いものです。
トロント大学との関わりはもうすでに15年ほどになり現地に行けば大学のスタッフだけではなく、食堂のスタッフとも話が弾むようになります。私にとっては彼らと会える機会としてとても楽しみにしているイベントです。
同時に、毎年同じトロント大学が主催するこのプログラムの生徒を連れて行き、毎日彼らの過ごし方を観察するという意味において、コンサルタントにとっての重要な定点観察の場とも言えるでしょう15年もの長きにわたってこのような機会が得られることはとても貴重です。
去年までのコロナでの中止、厳戒態勢での開催は去年までで、今年からはコロナ明けで初めて活動制限のないプログラムが再開したことになります。
現在、夕方の7時ですが、灼熱の日本を離れて、まだまだ日が暮れる気配のないトロントで課外活動でキャンパスを歩き回っています。
子供たちとは成田空港で集合してから、今に至るまでずっと行動を共にしていますが、コロナ前の生徒たちとの違いに一つ気づきがありました。
それは何か?
彼らのスマートフォンの扱い方です。
数年前は食堂や集合場所のホールでは生徒たちはとにかく夢中で自分のスマートフォンに真剣に向き合う姿が多く見られました。それが我々の懸念材料となり、いかにスマートフォンから彼らを引き離すか、隣にいる友人と話すように仕向けるか色々とアイデアを出し合ったことを覚えています。
それがどうでしょう。今年の生徒たちはそれが一気に払拭されたかのように、スマホ問題がなかったかのように、普通に周りの友人たちと話をして過ごしています。
スマホの存在感が無くなったのかというとそうではありません。彼らの手元にはスマホがあります。それでもスマホを凝視する時間は数年前の同年代の生徒たちに比べて、極端に減っていることは明らかです。
彼らをよーく観察していると、面白いことがわかります。お互いのスマホを見せ合いながら、それでも決してスマホの画面が主役にあるのではなく、あくまでも自分達の会話が主役になっていることがわかります。
これは決して日本人の学生だけに当てはまることではなく、ホールに参加者全員が集まった時の彼らの顔の向きを見ていれば一目瞭然で、国籍に関わらずの現象であることがわかります。
実際に彼らの携帯電話の使い方についてヒアリングをしましたが、多くの生徒たちがインスタ、TickTokなどのSNSを利用していることがわかりました。そしてそれが初対面の生徒たちのコミュニケーションのベースになっていることもわかりました。
以前は、情報の収集の場であり、ゲームに没頭する場、コミュニケーションにおいても現場にいない友人とテキストで連絡を取り合う場であったスマートフォンが、リアルでのコミュニケーションを彩るためのツールに変化している様子が伺えました。
同じ年代の子供達でも世代を通して、スマートフォンの使い方、存在意義が変化していく様子を見るのは大変興味深いものです。私個人の意見としては、これは前向きな変化と捉えて良いと考えています。SNSは世界中で共通のツールとして浸透し、国境を超えた同じ世代の子供たちが同じ価値観、話題を共有できる機会を与えてくれているようです。(もちろん、いわゆる「炎上」「個人情報」などのリスクはついて回りますが。
我々世代が、同じ音楽、同じビデオゲーム(スーパーマリオの音楽を一緒に口ずさんだり)、昔見たアニメがきっかけで友人関係を築いた頃と同じ、きっかけづくりとして今の盛大子供たちをスマホを本当の意味で「スマート」に利用し出したのではないかと感じています。
SNSで自分の経験を多くの人たちと共有する、そのためにはまず「素晴らしい経験」を本人がする必要があります。トロント大学のプログラムに参加したからには、その貴重な経験をスマートにスマホを利用して(決して利用されるのではなく!)より深いコミュニケーションを多くのまだ出会っていない人たちとの出会いのきっかけとしてほしいと感じています。

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