日本人ツアーガイドたち
今回の学校訪問で留学生活が1年に満たない日本からの留学生ガイドが2名誕生しました。いずれも、アドミッションスタッフから事前に連絡がり、私がお世話している生徒をツアーガイドとして手配するということでした。
ツアーガイドデビューをした生徒は、親しい友だちからHappy Birthdayと声をかけられます。今回もツアー中に何度か大向こうから威勢のいいHappy Birthdayが聞こえました。おおよそ言われた当人は、困惑とためらいを感じつつ笑顔を作りますが、それを聞いている私は、実に気分爽快になります。
中国、韓国に比較すると日本からの生徒は圧倒的に少ないのが、アメリカボーディングスクール留学生の現状です。そのなかでアジアでもかなり少数派の日本人留学生が留学生活1年に満たないのにもかかわらず、訪問者に対して立派にガイド役を務めるという現場に立ち会うと、彼らの短期間での英語力の伸びと、外部の人との対応に見られる社会的成長に私は感動を覚えます。
彼らの潜在能力はとても高いことを改めて確認し、日本でなされてきた学習やその技術が留学という現場でうまく開花しています。
当然のことながら、日本人ツアーガイドたちには、訪問者の親より幾多の質問が発せられます。
この学校以外にどのような学校を訪問しましたか
なぜ、この学校に決めたのですか
学校生活は楽しいですか
学校生活で不満なことは何ですか
将来はどうしたいですか
留学して良かったですか
ガイド役の生徒たちは、親からの質問に率直に自分の意見を述べます。留学当初はとても苦労したこと、異文化に慣れることが決して簡単ではないこと、日本での留学に対する認識の甘さなど、私は彼らのコメントから学び、なるべく現場の生徒の声をカウンセリングに反映させるようにしたいと思っています。
今まで、幸いなことに学校訪問の際、ツアーガイドを務めた日本人留学生から、留学は失敗だったとのコメントは聞いていません。もちろん、学校側もそのような可能性のある生徒をあえてガイドにはしないと思いますが、留学前の彼らの状況をある程度知っている私にとって、彼らの留学後の変化は物理的にも精神的にも劇的といえるのです。
留学すると、学校の概念が根底から変えられるように私は思います。それを留学生たちは、受け入れるわけですが、そのプロセスのすべてが、彼らの将来への精神的な財産となるでしょう。これからも、ボーディングスクールで一人でも多くの日本人ツアーガイドが生まれる手伝いをできれば、これに勝る喜びはありません。