休日コラム 嬉しい訪問者
今週の火曜日に8年ほど前にお世話した生徒から電話がありました。
「ぼくのこと、覚えていますか」と彼は名乗った後に切り出したのですが、
「忘れるわけないだろう!」と自然に反応していました。もちろん本音です。
次の日、オフィスにやって来た彼は現在23歳、
お世話は5年ほど前に終了したのですが、お母さんとは時折、
連絡を取り合っていて、彼のことについて聞いていました。
現在、彼は中古車の販売をなりわいとしていて、今月から留学時代の友人と一緒に
都内でレストランをするのだそうです。
開店は来週末だそうで、忙しいさなかに挨拶に来てくれました。
久々に会ってみた彼は、お世話したころと違って、落ち着いた感じです。
8年前のギラギラした目は、優しい目に変わっていて、
かん高くて歯切れがよく、突っ込みのするどいもの言いは、
ゆっくりとした間合いで、人の話を良く聞き、一呼吸おいてから、
話し出すようになっていました。
アイボリー色のパンツにベージュのシャツ、そして明るいグレーのジャケットという
格好は、パーカーとスエットが制服のようだった彼の学生時代を思うと、
想像だにできず、大人というか別人の雰囲気でした。
彼との話は尽きませんでした。
そして、23歳にして、独立し、新しいことにチャレンジする精神に
私はこころから惜しみない拍手を送りたいと思います。
中古車にレストラン、いずれも相当な思い入れと継続性が無ければ
成功できるものではないと思います。
また、それなりの知識と徹底したサービスで顧客の信頼を得ないことには、
やりがいも感じられないでしょう。
もちろん、そのような精神論を彼と話すということはありません。
それを彼は私から聞きたいとも思わないでしょうし、
私もそのような野暮はすきではありません。
「斉藤さん、E-Conciergeの名刺と息子さんの蜂蜜も店に置きたいんですけど、どうでしょうか」
彼のこのような気遣いは天性のものだと思います。
若くして、多くの人と接し、辛いことも、嬉しいことも経験したからこそ、
自然に人との絆を築くために何をしたらいいのかを彼なりに学んだと思います。
―君のレストランの売りは何ですか
「産地直送のうまいものを提供します。僕のネットワークで、『一匹でも送るよ』と言ってくれる漁師の人もいて、東京でいろいろな人と繋がりたいと思います。」
―それは楽しみだ。開店したら必ず行きます。一つだけ私からお願いがあります。ぜひIPAをお店に置いてください。」
「わかりました。IPAですね。必ず置きます。」
以前にお世話した人が来てくれる。これほど嬉しいことはありません。
彼の店の開店は今月19日だそうです。
3月のコラムでは、そのお店について書きたいと思います。