留学コンシェルジュ

休日コラム 「老猿」と「鷲猿図」

<昨日のブログに続きます>
明治26年のシカゴ万博に出展された標題の老猿と鷲猿図を
昨日のブログで取り上げました。
共に東京国立博物館に常設展示されているそうですから、
興味ある人はぜひ本物をご覧になってください。
明治26年(1893年)といえば、日清戦争の前年です。
そして、その11年後に日露戦争が起こります。
ともに1年以内に決着がつき、その後、日本は第二次世界大戦へと
軍事路線をひた走ります。
老猿を作った高村光雲と鷲猿図を描いた今尾景年が同じ意図をもってして、
猿と鳥をイメージして作品を完成させたかどうかは、
調べてはいないのですが、老猿の表情や左手に抑えられた風切羽は、
私の友人の言うとおり鷲を彷彿されます。
老猿は鷲と戦って負けてたまるかと見栄を切っている猿、
猿鷲図は鷲ににらまれてはいるものの、つかまってたまるかと
身軽に谷を下ろうとしている猿のように思います。
ご承知のように、白頭鷲はアメリカの国鳥です。
矢を掴んでいる鷲は、アメリカのコインや紙幣そして、
大使館やホワイトハウスなどの公の場所では至るところで見かけられます。
はたして高村光雲と今尾景年が当時、
これから太平洋を挟んで国際的に深い関係になっていくであろう
アメリカ合衆国を意識して、シカゴ万博にこれらの作品を出展したかどうか。
いずれにしても、申年の今年、この二つの作品を見ると
私はボーディングスクールに留学する生徒たちと「猿」がオーバーラップします。
空高く下界を俯瞰し、鋭い視力で獲物を捕らえる鷲と、
個体的には決して恵まれているわけではない体躯と行動半径で生活をしている猿。
猿が鷲に勝るためには、あらゆる状況を考慮できうる知恵と、
最後まであきらめない意思の力が不可欠のように思えます。
その基礎が教育です。そしてその教育の基礎は家族です。
今年も新たな世界に多くの日本の若者が挑戦することと思います。
その条件と基礎をなるべく整えることがコンサルタントに課せられた使命です。
しかしながら、コンサルタント自身が「留学」するわけではなく、
いわんや留学先の学校での学習の手伝いもできません。
留学生が身につける知識は試験に合格するためのものではありません。
彼らひとり一人が自分の精神と体の丈にあったやり方で模索するしかなく、
その模索が彼らをそしてこれからの日本と世界を作る基礎になると思いたい。
今週からいつもの日常がスタートします。

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