ボーディングスクール-生徒の役割と責任 ツアーガイドについて
学校の既成概念を取り払うような試みがボーディングスクールでは行われています。その一例として生徒が訪問者に対して行う学校ツアーガイドについて述べます。
テンスクールズやランク4のボーディングスクールにおいては、出願プロセスの中で学校訪問はほぼ必須といえます。スカイプインタビューという方法もあるにはありますが、学校訪問を行ったほうが有利に入学考査を進められると思います。
1年を通じて、訪問者の絶えないボーディングスクールにおいては、彼らへの接待も重要です。いくら評判の良い学校でも実際に行ってみて、その接待の質が悪ければ、出願者やその家族の学校に対する印象も変わってしまいます。
夢や希望を持って学校にやってくる出願者にとって、学校訪問ツアーガイドの果たす役割は、重要であるばかりでなく、学校の盛衰の一端を担うといってもいいと思います。
ツアーガイドに対する志願者側からの質問に制限は一切ありません。
その学校で学んでいるだけでなく、その制度、規則、習慣などについてしっかり説明できるということがツアーガイドには求められます。
世界から志願者がやってくるフィリップスアンドーバー、エクセターなどのテンスクールズにおいては、ツアーガイドに選ばれるということが生徒にとって大きな栄誉と言えます。
一日のスケジュールが明確に決められているボーディングスクールにおいては、生徒が自由に過ごせる時間はあまりありません。起床、朝食、授業、スポーツ、食事、自主学習、消灯という1日の流れで自由時間は自主学習が終わって消灯までの1時間以内です。また、宿題や課題の量によって、自主学習の2時間あまりは使われてしまうためにボーディングスクールにおいては、大学受験のための準備学習すら学校側がウィークデイのスケジュールのなかに組み込むということはありません。
このような状況ですがら、最終学年の生徒たちは、週末でさえも自由に過ごすことはできないかもしれません。
このような過密スケジュールのなかで、ツアーガイドになるということは、勇気ある決断がなければできるものではありません。また、学校が認証しなければツアーガイドになることはできないのです。
そのツアーガイド諸君は必ず自分がガイドした志願者に自分の「名刺」を渡します。そこには、彼らのメールアドレスが書かれています。彼らは一様に、「質問があれば何でもメールしてください」と最後にいって、志願者と別れます。
学校は勉強をするところですが、その「勉強」の範囲がとても広範に及ぶのはボーディングスクールの大きな特徴ではないかと思います。時間のやり繰り、人間関係、自己表現など社会の実践で求められる能力が、ツアーガイドという役割を通して学ぶことも大いなる勉強ではないでしょうか。