#1 ボーディングスクールの歴史学習
歴史は日本の大学受験においては主要な選択科目です。日本史にしても世界史にしても覚えるべきことさえ押さえておけば点数が確保できます。
留学を目指す小学生、中学生に科目の好き嫌いを聞くと、暗記作業が中心となる社会や理科が嫌いという生徒が以外と多いのに驚きます。
私的な体験で恐縮ですが、私自身も日本での受験体験者として「暗記」作業が英語以外の科目ではどうしても受け入れられませんでした。しかし、私の高校時代のクラスメートの一人は、3年生の夏休みを過ぎて、急に学習態度が豹変しました。受験科目で日本史を取ると決めモーレツに日本史年表とそれぞれの時代の最重要ポイントを暗記し始めました。その集中力は素晴らしく、受験のための知識で日本史の授業の期末テストで満点を取るほどでした。しかし、この素晴らしい知識も受験が終われば維持されることもなく、自然と忘れ去られていったことでしょう。
日本では歴史小説は読み物のなかでも確固たる位置を占めています。このブログを読んでいただいている人のなかにも多くの司馬遼太郎ファンがいると思います。司馬さんだけでなく、多くの歴史小説作家が日本にはいて、日本の歴史の大小さまざまな出来事をフォーカスして、丹念にそれを調べて様々な人間模様を紹介してくれます。
受験の時はその膨大な「暗記」量に圧倒され、歴史に興味や好奇心の目を向ける前に拒否反応を示してしまっていた私自身ですが、社会人となり歴史小説を読み始めて明治維新や鎌倉時代、そして江戸時代などに興味を持つようになりました。「暗記」というプレッシャーから解放されると歴史を俯瞰するためにおおよその時代の大きな出来事を自然と覚えるようになります。そんな時に初めて、高校時代に覚え込んだ「イイクニ(1192)つくる源頼朝、イヨロッパ(1868)で明治維新、ヒナワヤク(1789)フランス革命」などの知識が役に立ちました。
歴史小説がなぜ面白いかというと、そこに描かれている人間の生き方に共感できるからだと思います。受験勉強の歴史がなぜ面白くないかというと、単なる暗記作業を強いられるからだと思います。
ボーディングスクールのヒストリーのクラスはディスカッションが中心とどの歴史の先生も明言します。すなわち、授業は生徒の興味や好奇心を最大に刺激して、彼らを歴史の面白さに引きずり込むことにあると思います。
つづく