留学コンシェルジュ

#3 - 英文法活用法

<前日のブログに続きます>
英文法活用法というテーマですが、2回にわたり前置きが長くなりました。
英語での留学生活を1年も続けていると、おのずと自分の英語知識を整理して体系づけたくなるものです。コミュニケーションのための英語力は不自由しなくなりますが、学校で求められる英語力はむしろ読み書き力です。その力を伸ばすためには、文法を学ぶことが必要だと留学生が気づくからです。
その時に力を発揮するのが、日本の文法の問題集であり、3センチもあるような分厚い英文法の参考書ではないと私は断言しました。英語の本場で学ぶのだから、より詳しい英語文法書が必要と考えるのは、中学、高校留学の現場の生徒たちを知らない人でしょう。
留学生が求めているのは、基礎的な英語文法の知識であって、それ以上の高度、あるいは例外的な文法知識でありません。留学生たちにとって受験英語は無縁です。彼らが求めている英語や文法知識は、説明が完結明瞭、短時間で要点が理解できることが必須です。
穴埋め問題や語順問題は留学先にはありません。こまかな文法規則や例外規定などの知識も留学の現場では重要ではありません。なぜかというと、英語圏の学習においては、基本的に自分の意見が問われるからです。
中学校から留学した生徒たちは、理屈で英語を習得したりはしませんから、英語を感覚的に覚えていても、自分が納得する理由づけができません。たとえば、I’ve lost my watchとI lost my watchとの違いがわからない。
What should I have done? というような仮定法の表現を生活のなかで使えても、ではWhat should I do?との違いがうまく説明できないのです。それを解消してくれるのが、日本の大学受験のための英文法初級問題集です。どうして、中級や上級ではないのかというと、レベルがあがればあがるほど、日常のなかでの使用頻度が減ってくるからです。
留学生たちは、とにかく宿題をこなせるだけの速読力、理解力を身につけなければなりません。そのために必要な文法知識は日本の大学受験レベルでいえば初級でも問題ないでしょう。日本語にはない現在完了という現在、過去、未来に関する表現、長い文章を構成するために欠かせない関係代名詞、事実と反することを表すための仮定法表現など、数行の説明と例文で留学生たちの頭に入った英語知識はすっきりと整理され、その使い勝手は格段に向上します。
留学して初めて日本方式の学習の合理性と効率の良さを認識し、その教育資源に彼らは感謝できるのではないかと思います。

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