#7 - 学ぶことの面白さ
<前日のブログに続きます>
英語圏の中等教育機関への留学が留学生に及ぼす影響は知識だけではなくむしろ、人格形成に大きな変化をもたらすと私は思っています。日本の学校では、考えられないようなことが留学すると日常になるわけですが、そのなかでも失敗や挫折といったネガティブな行動や意識をどのようにしてポジティブに変えていくかという作業は、知識を増やす作業と同じくらいに留学生にとっては重要となります。
留学当初はあまりの環境の変化に耐え切れずにパニック状態となるような生徒もいますが、それで即帰国する生徒はいません。では、このパニック状況を解消する彼らの精神的、物理的メカニズムはどうなっているのか。
私はジェットコースターに乗った人に彼らの心境はたとえられると思います。
カタカタカタとゆっくりとあがってゆくときは静寂のなかでこれから起こることを予想しながらも、まだ落ちていく怖さはわかりません。
つぎに、ドカンと体が空中に投げ出され、叫ばずにはいられないような恐怖の瞬間が来ます。さらには体がアップアンドダウン、右に左に振り回され翻弄されますが、その時期さえしのげば、元に戻ります。
新学期が始まり、おおよそ1か月、この時期に学校から留学生の写真が送られてくると私はホッと胸をなでおろします。「この顔なら大丈夫だ」と確信できるからです。彼らは決して精神的に脆弱ではありません。異文化や新たな環境に一時、翻弄されることがあっても、中途で下車できない、そんなところはないことを彼らは理解しているように思います。むしろそれを見ている親のほうが、ハラハラ、ドキドキしてしまいパニックの疑似体験に陥らないことが肝要と思います。
いくら悲しくても、寂しくても、辛くてもそれが永遠に続くわけではない、必ず逆転もまたあり、喜びや歓喜に包まれることもあるという人の世の「無常」を私たちは自然に身に着けているように思います。
無常観の認識は、年齢、人種、思想、社会、文化に関係なく、誰でも持ちうる意識と思いますが、留学生が新たな環境に適応する際に最重要と思われるのが「感謝の気持ち」というのが私の結論です。この気持が、留学生たちの学習力を向上させる原動力であり、人として成長していく基礎をなすものと私は確信します。
自分をすなおに見つめ、周囲の人たちの協力に感謝し、留学ができたことに感謝し、今の自分が異文化のなかで努力できることを評価すれば、毎日が充実することでしょう。その元気さをもっていすれば、新たなことへのチャレンジも決して怖くはないと思います。
学ぶことの面白さをぜひ留学を通じて追及してもらいたいと私は切に思います。