自己主張について
ボーディングスクールの願書には、出願者に対する多くの質問があります。TABSのコモンアプリケーション(共通願書)を例にとりその概要を述べます。
・在学校でのスポーツ、芸術、音楽、活動での表彰事項
・学校外でのスポーツ、芸術、音楽、活動での表彰事項
・夏休みの活動について
・志願者の趣味、興味、得意なことについての記述
・志望の動機と将来の希望
・読書に関する感想文
・自分に最も影響を与えた人物、事件などに関する記述
アメリカではジュニアボーディングスクールへの出願から大学の出願まで、本人の書かなければいけない項目はほぼ変わりません。
さて、ボーディングスクールが志願者に対して行う「良くある質問」のなかに、自分を最も良く表現していると思われる言葉を3つ挙げよというのがあります。通常はdiligent、active、cheerful、などの形容詞を挙げて、その理由を説明するわけですが、日本の生徒たちは、驚くほどに自己主張ができません。
第一に、自分をあらわす単語が浮かんでこないのです。Friendly、positive、kind、honest、enthusiastic、hard worker、challenger、supportive、consistentなどを想起できると思うのですが、1つも浮かんでこない生徒も少なくありません。
作文ですから、日本語で考えてそれを辞書で引くという作業ができます。これを機会に自分を表す単語を3つほど常に頭に入れておくのがいいと思います。
一般的に英語圏では、日本よりもはるかに「なぜ」という突っ込みが入ります。故にたとえば、cheerfulと自分を表現するのであれば、その具体的な理由や例をしめすというセットで考える訓練をしておくと大いに役に立ちます。
どんな時にcheerfulになるのか、cheerfulであるために、自分がそして相手がこんなに楽しくなるとか、元気になるとかを言えるようにあるいは書けるようにしておくのが英語の自己主張の流れになると思います。
「本を読むのは好きだけど、あまり感動はしません」このフレーズも中学、高校の留学希望者から良く聞かれることです。おそらく、感動する「くせ」がついていないのではないかと思います。もちろん、試験に受かるために感動するというのは、本末転倒ですが、感動を求めるこころは誰しも持っています。それが引き出されるか否かが問題です。
TABSのコモンアプリケーションの志願者に対する質問肢は明らかに彼らの教育文化から生み出されたものです。その世界に日本からいきなり入っていけば、当然違和感がありますし、ある時は拒否反応を示さざるを得ないかもしれません。
それが、異文化理解の第一と考えて、留学を目指す人たちは自己主張の大切さを学んでください。