その3 ボーディングスクールの学習評価―不得意科目の克服
<前日のブログに続きます>
ボーディングスクールが生徒の良い所を伸ばすということを基本にして教育を行っていることを、日本の中等教育と比較しながら述べてきましたが、今日は生徒が改善すべき点、すなわち不得意な科目について、ボーディングスクールはどのように取り組んでいるかについて考えてみたいと思います。
ボーディングスクールでは新たに始めることをとても重視しています。スポーツ、芸術、音楽という学習外の分野においても、やったことがないことへの挑戦を応援します。その原理に基づいて、不得意な科目についても、今まで手をつけられなかった、あるいは手をつけていなかったところもYou can do it!という意識をもって取り組ませます。
ボーディングスクールの大きな特徴の一つとして、半分以上の先生がキャンパスで生活しているということがあります。先生と生徒が同じ場所で生活を共にしているわけですから、「解らないことを質問する」という機会を作ることが可能です。また、寮にも必ず先生が住んでいます。さらには、生徒ごとにアドバイザーという担当の先生がいて、生徒の学校生活全般の相談に応じてくれます。
ひとクラスの人数が10名前後で先生と生徒の日常の距離が短く、生活と学習が一体化している環境であれば、今までは避けていた科目についても、新たな活路を開く道を発見できる可能性は十分に考えられると思います。
一般的に勉強における得意、不得意は本人の思い込みによるところがとても大きく影響していると思います。その思い込みから解放されるためには、先生の果たす役割がとても大きいと思います。
ボーディングスクールの毎日は、スケジュールがしっかり組まれています。日本の生徒の場合、学校を終了してからの補習としての塾や家庭教師などに多くの時間を割きますが、ボーディングスクールでは学習、スポーツ、芸術あるいは音楽、週末というバランスをとても重視しています。
暗記が中心でとにかく覚えることの繰り返しという日々ではなく、考えて実行する、検証する、調べて発表するという学習環境は、そもそも勉強の好き嫌いを緩和できる可能性を秘めているのではないでしょうか。
学習分野だけでなく、生活の多くの場面で誰でも不得意なことはあります。その克服のカギを握っているのは、「取り組んでみる」という本人の意識にあり、それを後押しする人たちに恵まれれば、結果は必ず出るのではないかと思います。
ボーディングスクールの先生たちは、生徒の可能性を追求することに関しては、惜しみなく協力する人たちです。その人材を活用するためには、自ら行動を起こすことが求められることは言うまでもありません。