ボーディングスクールの学習評価について
日本の中等教育は1年が3学期に分かれていて、学期ごとに成績評価がされて、学年末に成績が確定するという習慣が定着していますが、アメリカのボーディングスクールの場合、おおよそのところが、前期、後期の2期制でそれぞれをさらに2つに分けて、成績評価をするというのが一般的です。
日本の場合、中間、期末テストの結果で成績がおおよそ決まりますが、ボーディングスクールでは、大きなテスト以外にも、小テスト、クラス参加度、宿題の出来、グループワークなどが成績決定の要素として用いられます。それらを総合してA、B、C、D、Fという五段階評価がなされます。
評価は絶対評価であることがアメリカでは定着しています。クラス全員がAであってもいいのです。宿題をしっかりやり、小テストや中間期末テストの結果も良く、授業態度も積極的で発言も多くその内容も良い生徒は、みなA評価をもらいます。
先生からの親へのメッセージも日本よりもボーディングスクールのほうがかなり多くもたらされます。特にひとクラスの人数が8人~15人程度ですから、ディスカッションや質疑応答に授業でかなりの時間を割くことができます。さらには、何をどれだけ教えるという基準についても、学校独自で判断できるため、教科書どおりの進行に先生が気をつかう必要が日本に比べるとかなり低いと思います。したがって、先生は生徒ひとり一人に対して、十分な観察ができるわけです。
日本の留学生が良く指摘されるのは、「授業参加度の低さ」と「質問の少なさ」です。ともに、英語力というハンディがあるなかで無理もないことではあるかもしれませんが、先生が言いたいことは、ハンディがあるからこそ、それを克服するための自分自身で努力をしてほしいということになると思います。
自助努力を促すためにボーディングスクールの先生は生徒をほめます。むやみにほめるのではなく、「君のいいところは何か」ということを探し、考えてほめます。日本的に考えれば、「修正すべき点を指摘してほしい、どこを直せばどれだけ伸びるかを教えてほしい」となるのでしょうが、驚くほどに修正点に先生は力を入れないのです。それがボーディングスクールの教育文化なのです。
「いいところを伸ばせば、おのずと悪い所は修正できる」というのが、ボーディングスクールの各クラスで実践されている学習評価の根本をなしていると思います。
つづく