競争を越えて
ボーディングスクールの学校選びには競争がありません。
日本的に考えれば、志望校には入学難易度を示す偏差値という基準があって、
その目安に従って、チャレンジ校、合格圏校、滑り止めを一般的には考えます。
しかし、英語圏の学校選定にあっては、あくまでも志願者本人と学校との相性が
学校選定の大きな決め手となります。
もちろん、高い英語力と学習力を要求する学校への入学は簡単ではありませんが、
そこに入学するための競争相手は、他人ではなくて自分です。
本当に自分がその学校に入りたいと思えば、その学校が要求する英語力、
学習力を身につければいいわけです。
ボーディングスクールの授業は、能力別編成といっていいと思います。
しかし、特進クラスという考え方を彼らは持ちません。
あくまでも教科ごとにAP(Advanced Placement)という上級クラスを編成し、
各科目で能力のある生徒にそのクラスの履修を認めます。
日本の場合、入学難易度の高い進学先は、受験者にまんべんない学習力を求め、
結果をテストの点数で表すことを要求しますが、英語圏の受験は、
テストの結果が評価の中心ではなく、高校時代の学習履歴、本人の特質、
学力試験の結果などの総合評価です。
ここでもやはり戦わなければならないのは、自分自身であると思います。
受験があるから学力を増す、すなわち競争力をつける。
さらにそれを磨いて、より高度な競争力をつけて、頂点を目指す。
学習の範囲が明確で、その内容も研究しつくされているがゆえに、
受験者は知識を増やす方法を徹底して追求できます。
その技術を徹底して学んでものにした順に大学が決められていくのが、
日本の教育システムではないかと思います。
この学習技術は、社会にでると一旦リセットされて、
今度は、「世の中」という学習が始まります。
それは、主として自己啓発の世界であり、社会に出てからの
学習方法、人間関係のあり方、やる気の昂揚方法などを学びます。
「いつまでも学生気分がぬけない」、「もう学生ではない」などと、
日本では自分の「立場」によって、
新たな価値観や生き方が生じるように思います。
それぞれの立場で「競争」があります。
そして、自分は絶えず他人との比較において評価されるのが日本式と
言えるかもしれません。
中等教育時代から海外にでると、人との競争でなく、協調や理解が先になります。
従って、人間関係、価値観なども勉強以外でも多くの困難を乗り越えなければ
ならないがゆえに、学習する内容や視点も日本とは変わってきます。
どちらがいいのか、それを選択する時代になってきました。
いずれを選択しても、教育の目的はよりよい未来を創る
ことであってほしいと思います。