日曜コラム Deerfield Academyについて
先日のブログで書ききれなかったDeerfield Academyについて述べます。
アメリカを代表するボーディングスクール、Deerfield Academyですが、
この学校を訪問する度に、その落ち着きはらった重厚さと
ニューイングランド地方のたたずまいを今に残す雰囲気にこころが安らぎます。
そして、世界中から生徒がやってくる学校としての「うつわ」の
大きさに感心させられます。
創立年が1797年と今から200年以上も前、フランス革命の時期にもかかわらず、
学校施設は驚くほど古さと近代的な設備が調和しています。
そして、生徒が学習する棟は、いずれも整然としていて、
美しく、豪華であり、合理的かつ最先端の技術が駆使されています。
コンサートホール、シアター、室内トレーニングジム、スカッシュコート、
ダンススタジオ、屋外各種競技場などなど、
今までボーディングスクールの施設についてその素晴らしさを述べてきましたが、
Deerfield Academyを訪問すると、書かずにはいられなくなります。
訪問者のための待合室は、テンスクールズのなかでもこの学校が最高です。
縦15メートル、横30メートル、高さ10メートルほどのスペースに、
ソファーセットが3つほど、大きなテーブルに10組の格調高い椅子があります。
隅の方に置いてあるグランドピアノはスタンウェイです。
この学校を訪問すると、伝統について考えさせられます。
218年の歴史といっても学問の世界は恒に変化しています。
また、人の生活も当然のことですが、変化していきます。
その変化に対応しつつ、コアの部分、すなわち建学の精神や生徒たちの躾は、
時代の変化の如何にかかわらず守られていて、
なおかつ世界中から生徒たちを引き付ける魅力に満ちているのです。
英語圏の国々の学校を私はかなり訪問しましたが、
Deerfield Academyのような生徒を魅了するしかけがあれば、
誰でもやる気を起こして、新たな自分を発見し、深め、
伸ばしていけるのではないかと思うのです。
「学校というしかけが、どれほど物理的に優れていても、『勉強』そのものへの興味ややる気は起こるものではない。本来、勉強は楽しくはないものだ」と私はボーディングスクールを熟知するまでは思っていました。
しかし、勉強以外のもので自分の可能性が確認でき、
勉強そのものも「君はどう思う」と問われて、発言する機会を与え続けられれば、
誰でも答えようと努力をするのではないでしょうか。
勉強というと知識、覚える、暗記する単純な思考回路から外れれば、
新たな世界、未知の世界を乗り出せるのではないか、
Deerfieldを訪問すると、私はそのように感じます。