ニュージーランド留学 ― パストラルケアー
日本のむせ返るような暑さから半日ほど飛行機に乗ってオークランドに到着するとそこは日本の秋が深まったような気候でした。そこから飛行機で南下すること2時間弱、ダニーデンの朝の気温は1℃、半袖、短パンでジョギングをすると露出した皮膚が赤くなります。
ニュージーランドに到着して翌日には、日本の夏の喧騒はすっかり飛んでしまいました。
ニュージーランドの人たちはアメリカと比較すると一応に親切、丁寧で、とても愛想が良く、フレンドリーに感じます。
今の時期、空港にはたくさんの制服を着た日本人高校生がいました。空港だけではなく、ダニーデンの高校にも日本の制服を着た高校生が数十人のたばになっています。群れるのが苦手な私はそのような光景を見るとつい避けて通りたくなります。
このような光景はアメリカのボーディングスクールでは見たことがありません。今から10年以上前であれば、アメリカ、カナダに多くの日本人高校生が短期訪問をしたのでしょうが、今はニュージーランドとオーストラリアが夏の短期留学の主流です。
ニュージーランド留学を一言でいえば、「パストラルケアー」ではないかと思います。パストラル(Pastoral)を辞書で引くと、牧歌的な、田園の、田舎のといった訳語になるのですが、私はベートーベンの交響曲第6の旋律を思い浮かべます。のどかでこころが落ち着くのです。男女とも制服が多く、日本に比べればそのセンスは「?」なのですが、人々の意識やこころはとても素直で暖かいのです。
私はニュージーランドにいると、中学校から日本以外の教育を受けるとすれば、その選択肢は複数の国であってもいいのではないかと思います。北米ボーディングスクールの半分以下の費用で留学できて、英語を習得するというプロセスは現実的に変わりません。また、治安も日本のように良い国と思います。
長い人生です。交響曲田園の嵐でない部分の体験が半年や一年間あってもいいのではないかと思います。
同じ英語を話す国民でも、アメリカ、そしてイギリスともかなり違う人種、日本に親しみを持ち、子どもたちを大切に育ててくれる国、ニュージーランドは確かに人生観を変えるのに十分な手つかずの自然と人情のある国であると思います。