日本人留学生の評判
教育コンサルタントとして英語圏の学校を訪問して嬉しいのは、日本人留学生の評判が良いことです。
海外で自他ともに認める私たちの性格的傾向として、口数が少ない、自分の意見を言わないなど、外国人からネガティブ見られているのではないかと多くの人たちが思っています。謙遜を美徳として、「空気を読む」という社会で何百年あるいは千年以上にわたって生きてきた日本人としては、当然の思考回路かもしれません。
ボーディングスクールの世界では、日本人留学生は他のアジアからの留学生と比較して学校スタッフから一目置かれています。その理由は、彼らの行儀が良いこと、勤勉なこと、いつもニコニコしていることなどによります。素直に現実を受け入れるところも日本人の特性と言いたいのですが、「すなお」に該当する英語の名詞がなかなか見つからないのです。
英語圏の人たちの一般常識には、すなおさということの定義が日本人のそれとは大いに異なっているのではないかと思います。それ故に、現実を受け入れる許容量の多い日本人は称賛に値するのではないかと思います。
ある著名な留学コンサルタントによると、「これからのマーケットは中国」なのだそうです。確かに、ボーディングスクールにおける中国パワーはこれからも当分の間続くのではないかと思います。しかしながら、彼らのボーディングスクールでの評判は日本人と比べるととても劣ります。さらには、コンサルタント自体も信用されていません。一方、日本人コンサルタントについては、私の34年間のキャリアのなかで、一度も批判的、否定的、あるいはコンサルタントとしての信用を覆すような意見を学校関係者から聞いたことはありません。
ボーディングスクールでの日本人留学生そしてコンサルタントの評判の良さは、世界に誇れる日本人の特性を表しているということに最近気づきました。
すなわち、勤勉、誠実、謙虚などは、どのような社会においても立派に通用するところの人としての素晴らしい要素ではないかと思うのです。誠実さや謙虚さなどは、欧米の社会では通じないのではないかと思われがちですが、そのようなことはないのです。すくなくとも、そのような基礎の上に立って自己主張をすることで「フェアー」と思われます。そして、ボーディングスクールの先生方はそのような日本人留学生の態度を評価します。
もちろん、そこに至るまでには、沈黙の期間もあるでしょうし、さまざまな障害を乗り越えなくてはいけない生徒たちの自分との葛藤も大いにあると思います。しかし、安易に彼らは諦めることなく進んでいくことができることも、日本人留学生の素晴らしい特性と言えると思います。