大学への道 - ボーディングスクール留学
初めて英語圏という異文化に接しておそらく誰もが驚くのは、彼らの時間の使い方ではないかと思います。日本で大学のみならず「受験」勉強を経験した生徒が英語圏のボーディングスクールに行って、放課後の貴重な学習時間をスポーツや音楽、芸術といった課外での活動に費やすことに一様に驚きます。
どのようにして高校としてのボーディングスクールでは受験対策をするのか。また、学校として生徒たちに何をやってくれるのか。そのような疑問が湧いてくるに違いありません。しかし、それと同時に日々のクラスでの課題、すなわち大きな英語力のハンディを背負いながらの寮生活というプレッシャーもあります。
日本からの留学生がボーディングスクールでの生活を理解して、日本とは全く違う大学受験のやり方を理解するのに要する時間はおおよそ1年くらいではないかと思います。
日本の場合、「試験」が受験の合否の決定的要因なのに対して、アメリカのそれは、あくまでも総合力ということになります。
TOEFL、SAT、SSATなどの英語や数学力を問う試験は、すべての生徒を対象に作られていますから、あまり難しい問題はありません。英単語は、外国人にとってはその学習に多くの時間を使わなければいけないでしょうが、ネイティブの生徒にとって、活字に幼少から親しんでいれば、それほど難しい問題ではないでしょう。日本で言えば、さしずめ漢字についての出題です。
SAT、SSATについて、日本人留学生が数学ではかなりの高得点をあげることから考えても、日々のしっかりした学習が学力テストに反映されると言えます。
受験での難問、奇問に対応するために中学、高校時代の勉強をどんどん前倒しにして、最後の2年間くらいでより難しい問題に取り組む。さらに学校外での時間はより高度な問題をさらに解くために塾、家庭教師、予備校などに費やされることに対して使われるのが、日本の中等教育の現実であるならば、そこで順当な成果をあげた生徒たちは頭でっかちにならざるを得ないと思います。
もちろん、学習に対しては、学校も生徒を取り巻く環境もとても配慮してくれます。高校3年生になれば、スポーツクラブ活動は引退ということでしなくなります。学校での勉強も3年生までの教科書はすでに終わっているわけですから、生徒の受験ニーズに合わせた授業というのが行われることになります。
「受験」は生徒たちにとって免罪符的機能を持つことになります。
つづく