英語力と生きる力 6 日本の教育システムの特徴
<前日のブログに続きます>
初等、中等教育機関への留学をコンサルティングしていると、必然的に日本の教育システムとかかわることになります。それは、相談にくるご家族が日本の教育の現実を知ったうえで、海外の教育について、その特徴と可能性を検討するからです。単に海外の教育について語るだけでは、相談にくる家族からの質問に要を得た答えができないのです。
日本の子どもたちは、とても忙しいと思います。私がお世話している生徒たちで、ウィークデイで放課後から夕食時までの時間帯で自由に話せる生徒は稀です。
ボーディングスクール訪問時のインタビューの練習をスカイプでする時、彼らと30分以上話せる時間は9時以降などというのは珍しいことではありません。
塾、家庭教師、習い事で平日および週末でさえもスケジュールが入っているというのが、高校生のみならず、受験体制に入った小学生、中学生の現実といえるでしょう。
余談ですが、お母さんたちとの雑談で塾の選択過程を聞いていると、驚かされます。生徒や家族が塾を選ぶのではなく、塾が生徒を選ぶのだそうです。そして、塾が希望する学習結果を出せなかった生徒は、その塾を「くび」になるのだそうです。たしかに、個性、特性を生かすというコンセプトはここにはありません。その代り塾の指示通りに勉強すれば、結果的に「志望校」への入学が果たせるということになります。ところが、志望校も大体の場合は、偏差値によって正確なランキングづけのもと、それぞれの学校に必要な学習要項、学習時間、学習程度などが誰でもわかるようになっているのだそうです。
個性、趣味、得手不得手、能力特性などは、「さておいて」数値で示されたデータとかなり具体的な学習内容の情報は、親を説得するのに十分な素材であると思います。
かくて、日本の子どもたちは頭のなかに英語圏とは比較にならないほど早期から、知識をどんどん注入されることになります。私の知る限り、日本のエリートは、このような教育環境から生み出されているのではないでしょうか。
「知っていること」が今でもまかり通る日本ですが、世界のトレンドはすでに「知っていること」から、「知ること」への方法論に明確にシフトしています。
つづく