留学から帰国した生徒の受け入れ
ある留学生が1年間の留学を終えて帰国をすることになりました。
中学校を終えて、高校1年生の夏に留学したので、本来であれば高校2年生として
受け入れられるわけですが、本人の母校は2年生としての受け入れは
出来ないというのだそうです。
留学生をした生徒の受け入れに関して、学年を規定する法律はありませんが、
90年代には単身留学した生徒であっても、校長が認めれば、同じ学年を
繰り返すことなく30単位相当を海外で学習したとみなして、
復学が可能という見解を文科省は出しました。
留学制度をより具体的に文科省が示したことにより、
1年間の留学をする生徒が増えると思われましたが、
アメリカへの交換留学生は90年代、2000年代と増えるどころか減少しています。
景気が回復しない、インターネットの発達による若者の海外志向への無関心、
進学、就職に不利という判断など、マイナス要因が挙げられますが、
世界的視野から見ると、日本がグローバル化から置いていかれているという
危機感を持っている人は多いと思います。
そのような教育環境のなかで、今回、私がお1年間世話した生徒は、
自分の母校が留学制度を認めないことを不服として、
それを認めてくれる学校を探し始めました。
本人のお母さんからの依頼で、候補に上がった学校の教頭先生と話しました。
結局、教頭先生は本人の1年間の学業実績が「単位」として認められれば、
留学制度を適応することも可能という主旨のことを述べられました。
― 先生、本人はとても優秀で、真面目に勉強しました。留学先校からも、学資援助をするから、継続して勉強をと言われています。大学受験では、きっと良い結果を出すと思います。ぜひ、受け入れを考えてください。
先生が懸念されているのは、過去にアメリカで学んだ生徒を受け入れ、
その生徒がある国立大学を受験するときに、本人の学習履歴について、
その大学から直接、受け入れの理由について聞かれたというのです。
「本人の一生にかかわることです。もし、(留学したことで)国立大学の受験資格が認められなければ、残念でしたでは、済まされない」
― そのような大学は受験するに値しません
と私の口が勝手に言っていました。
卒業証明書を出すのは、それぞれの高校の専権事項です。
また、1年の留学での30単位を認めるかどうかは、校長先生の判断によります。
なぜ国立大学が留学経験のある志願者の「資格」を紙だけで判断するのか、
私には理解できません。
なぜ試験をするチャンスさえも与えないのかがわかりません。
つづく