日曜コラム 子育ての手間ひま
ニュージーランドのある家族の光景です。
日本からの留学生を二度にわたって短期ですが、引き受けてくれた家族があります。
私のブログに何度か登場しているのですが、お父さんは小学校から高校までの
一貫校、統合学校(Integrated school:国からサポートを受けている私立校)の
副校長先生、奥さんは日本に2-3年滞在経験があり日本びいき、
子どもは10才を先頭に4人です。
さて、このお父さん、子どもにThank youと頻繁に言います。
何か子どもに取ってもらって、「ありがとう」
「片づけをしなさい」と子どもたちに言い、彼らが実行したら「ありがとう」
上の子、下の子関係なく、4歳の末っ子にも「ありがとう」と言います。
自分のことを振り返ってみると、私はわが子にありがとうと言った記憶はありません。
家内が子どもたちにありがとうと言っているのも、聞いたことがありません。
そのような自分と比較して、このホストファーザーが、
子どもたちに対して、自分と明らかに違う態度で接していたので、
私の意識に新鮮に記憶されたのだと思います。
さて、このお父さんご家族とニュージーランドのビーチにピクニックに行きました。
ビーチに至る道は、主要道路を外れるとなんと舗装されていません。
前に車があると、後続車はほこりまみれになります。
そんな道を10分以上走りました。乗用車がやっとすれ違えるほどの広さの道です。
駐車場に着きました。そこからビーチまでは数百メートル。
歩いてビーチに着きました。日本と違って、海の家は一つもありません。
近所に売店、釣具店なども一つもありません。
2-3キロの白い砂浜のビーチは人もまばらで、サーファーが数人いました。
そこに、アシカがごろんと横たわっていました。
いたずら好きな6歳の三男が、そのアシカに近寄り3メートルほどの距離から、
30センチほどの棒をアシカに向かって投げつけました。
アシカは一瞬、牙をむき出しにしてその子を威嚇しましたが、
また、ごろんと元に戻ってまた昼寝をし始めました。
それを見ていたお父さんは、わが子をアシカから遠く離れたところに連れて行って、
砂の上に正座をさせて、わが子のアシカへの暴行を反省させました。
本人はまだ6才ですから、自然愛護の意味がわかるかどうか・・・。
その後、ビーチから引き揚げた私たちでしたが、
三男はI don’t wanna goと駄々をこねて、そこにゴロン。
彼に構わず私たちは、歩いて車に向かいましたが、
お父さんは草むらに隠れて、本人の様子を見守っていました。
5分くらいたって、お父さんと三男は駐車場にたどり着きました。
このビーチには、早朝と日没後、ペンギンが海から戻ってきて、
岩場の草むらの巣に戻ってくるのだそうです。
人がなるべく手をつけない自然がニュージーランドにはたくさんあります。
いわば手間ひまをかけて、彼らは自然をそのままに保つ努力をします。
そして、子育てにおいても、子どもたちの人格を尊重しつつ、
手間ひまをかけて、育てていると私は感じます。