教育の多様性を考える 3 日本人留学生の評価
あるボーディングスクールのアドミッションスタッフとのやり取りです。
― 今、中国からの留学生は何人くらいいますか
「おおよそ20人くらいね。」
― それで安心しました。ボーディングスクールのなかには、300名くらいの総生徒数のなか、100名以上の中国からの留学生がいる学校もあります。
「それは、とてもeasyなことよ。ほんと、easyなのよ。」
― そうですか。
「中国からの出願はとても多いので、一つひとつの願書を精査できません。信頼できる筋からの出願のみ受け付けています。日本からの出願者はとても数か少ないですね。」
― あなたの学校を推薦できる生徒をこれからも紹介したいと思います。
「ありがとう」
人種の「多様性」という点においては、英語圏のボーディングスクールはとても進歩的な考えを持っていると思います。すなわち、新入生を世界から歓迎しますという積極姿勢です。では、そのなかで日本人生徒はどのような印象かというと、さらに「歓迎」されます。
日本からの出願者が歓迎される第一の理由は、留学生のなかではマイノリティ(少数派)だからでしょう。中国を中心とするアジアの国々はボーディングスクールにとって生徒獲得の大きくて貴重なマーケットですが、その中でも日本からの出願者がダントツに「少ない」のが現状です。日本経済の低迷がその理由とされています。
日本からの出願が歓迎される第二の理由は、生徒の質です。彼らはおおよそ勤勉であり、学業においては、おおよそ良い結果を出します。スポーツやアートを得意とする日本人留学生も多く、学校のルール違反や他の生徒との不調和ということの心配がまずありません。
「和をもって尊しとなす」日本人の精神は、ボーディングスクールにおいてはポジティブに働くと言っていいと思います。
留学生とは直接関係はありませんが、費用の支払いがしっかりしているという点でもおそらく学校側にはかなり高い評価を得ていると思います。
近年のボーディングスクールの契約内容は費用支払いにおいて、学校側にかなり有利になるように作られていると言えます。入学を確定するための授業料一部金支払い額は5%から10%に変更され、7月上旬までに支払う授業料のキャンセル期限も7月中旬になっています。それ以降にキャンセルしても、支払った授業料の返金は無いのです。
このような条件のなか、日本からの出願者においては、支払トラブルは発生しません。おそらく、支払に関していろいろな国からの出願者が問題を起こしたため、学校も自らを守るために、自分たちに有利な契約内容をより強化せざるを得ないのでしょう。
つづく