留学生の本音 ― 留学は親の意思2
親の気持ち子知らずという格言は親子関係の普遍の真理と言えるようですが、子の気持ち親知らずという逆もまた真なりとはいえないでしょうか。
親と子の両方から話を聞くことのできる立場にあるコンサルタントにとっては、双方の心境が十分に理解できるがゆえに、留学においても親子の相互理解が留学の成否を分ける最も重要な要素であると思うのです。
親の気持ちに関していえば、「すべてはわが子の将来のため」という考え方に捉われすぎてしまっていて、「今のわが子」を冷静沈着に理解するよりも、自分のなかのわが子像が現実とかけ離れたところで大きくなり過ぎて、暴走してしまっているのではないかと思います。
子どもの本音は何でしょうか。いくつかのパターンがあると思います。
1 親の意見に無関心
2 将来は自分で決める
3 わからない
留学という選択をした後に、親がわが子に関心を持てば持つほど、日々の行動や言動がすれ違ってしまうということが多々あります。
英語の勉強により力を入れなければならないところ、日々の本人の生活を見ていると留学決定後も決定前と変わらない。どうしてそれほどまでに平気でいられるのか。もっと英語の勉強をするとか、留学関連の資料を集めて研究するとか、やるべきことがどうして考えられないのだろうかと親は考えます。
それに対して、留学を決めた「わが子」からすれば、親が留学決定後、そこまで熱くなるその理由がわからない。留学をすれば、やらなければいけないことは、自明のことがらだから、それはわかっていて覚悟もできている。でも、だからといって、今の生活を激変させることはとても難しい。ムリ―というのが彼らの本音だと思います。
現実として、留学をして半年ほどで、すべての生徒が聞く力を伸ばします。現地で生きていけるだけの最低のコミュニケーション力は誰でも確保します。しかし、クラスでの発言までは手が届きません。今までの学校生活では、それほどざっくばらんに発言することは「許されない」という雰囲気がありましたし、そもそも発言するということが学校文化として日本では定着していません。
ボーディングスクールという全く新たな学校文化のなかで、半年間を過ごし、挫折することなくやれたということ―これは称賛に値することです。この時点で、ぜひ、わが子を惜しみなくほめてあげてほしいと私は思います。