プラス思考の教育 4 留学当初の状況で・・・
ボーディングスクールには学年全員が参加する修学旅行はありません。あるのは、新学期が始まってすぐの全校生徒、先生が参加するアウトドアキャンプです。その目的は新入生と既存の生徒そして先生がお互いをよく知るというものです。このキャンプは、何もない自然のなかで行われるがゆえに、日本からの留学生にとっては、大きな衝撃かもしれません。
日本での生活に比べれば、不便極まりなく、風呂もシャワーもない日があるかもしれません。入学して間もなくの時期ですから、言葉はわからず、友だちはいない、先行き不安とホームシックも加わって「日本に帰りたい」という衝動にかられるのも、自然の感情かもしれません。
何しろ孤独になります。食事も日本に比べたらはっきり言って美味しくはありません。話したくても日本語は通じません。ボーディングスクールは、留学当初の生徒にとっては、陸の孤島です。
故郷への思慕、現状への不満、そして先が見えないという不安、「どうなってしまうのだろう」と誰でも落ち込みを経験します。その現状を打開するための「プラス思考」こそがこの時期、彼らの大きな精神的収穫と言えるともいます。
「どうなるのだろう」と想像しても、何も見えません。キャンプはどうやら切り抜けることができたようですが、ボーディングスクールでの勉強がスタートします。「宿題が終わらない」ということではなく、宿題が出たのか出ないのか、何をやるのかが全くわからないのです。
授業そのものも、先生や生徒の会話は「念仏のようだった」と留学初期を振り返った留学生がいました。
このような状況で留学生たちは何をどのように対処するのでしょうか。彼らが最初にやらなければならないこと、それは根本的なものの見方、考え方を今までとは違ったモードに切り替えることです。
その基本がプラス思考です。
プラス思考は勇気と決断を留学生にもたらします。その結果、今まで恐れていたこと、やろうと思ってもできなかったことなどが、徐々にできるようになります。たとえば先生への質問、スポーツチームへの積極参加、クラスでの発言、週末アクティビティーへの参加などです。あれこれ考えずにやってみること。ネガティブな結果の想像という精神的呪縛を断ち切ること。自分に自信を持たなくては、この陸の孤島では生きていけないというプラス思考に自分を切り替えることで、今まで念仏のようだった周囲の会話が少しずつ理解できるようになっていきます。