教育のパラダイムシフト 13
<前日のブログに続きます>
ハーバードに現役合格した学生の話で一番興味深かったのは、彼の海外体験です。お父さんの仕事の関係で英語圏に行くことに小さな時から慣れていた彼は、中学時代にお父さんのイギリスでの会議出席に同行しています。
親からは、塾や家庭教師を強要されることはなく、2年ほどの小学校時代の海外経験で英語の文化に接触した彼は、その生活に違和感を覚えることもなく、すなおに吸収できたようです。
彼は、中学校のころから親の影響もあって、次第に英語圏の大学に興味を持つようになります。そのような時期に、英語圏の大学を出た人々から意見を聞くことができ、日本の大学文化についても、もちろんいろいろと学習や情報収集もできた彼にとって、比較の結果、アイビーリーグ校へのチャレンジを決めたわけです。
彼の受験のユニークであったところは、ハーバードには合格しましたが、コロンビアやブラウンなどは、落ちているところです。
試験の点数が合否をほぼ決めると言っていい日本の大学入試と異なり、アメリカの入試はSAT、TOEFLの点数はアイビーリーグに出願をする人たちにとっては、大きな要素とは言えません。それらの試験問題は、難解というものではなく、アイビーリーグ出願者にとっては、90%以上の達成率は当たり前のことです。
高校時代に英語がしっかり読めて、書ければTOEFLもSATも大きな障壁とはなり得ないでしょう。そのように作られた試験ですし、それにつまずいているようでは、アイビーリーグへの入学はできません。
ハーバード、アドミッションオフィスのスタッフたちの会話が容易に想像できます。A:日本から面白い出願者がいるね。
B:どんな点が面白いのかな
A:彼のエッセイだよ。自分の異文化体験を語っているのだが、その視点が面白い
B:どんな視点なの
A:国際会議で上手にふるまえない日本人についての批評さ
B:しかし、自国の人たちを批判一色で論じるのは、疑問に思うけが・・・
A:いやいや、そのくらいの元気があっていいんじゃないか。「自分であればそうしない」として、そこから、自分の未来を描くところなんか、とてもユニークじゃないか。知識を駆使して、自分にできようが、出来まいが理想的な作文を書かれても、読んでいて面白くはないが、この志願者の具体性とチャレンジ精神はとても評価できるよ。
偏差値がすべてではなく、やりたいことの内容にまで踏み込むアメリカ式入試は、日本のそれとは、大きく異なると言えるでしょう。コロンビアやブラウンには認められなくても、ハーバードがそれを評価したということがアメリカでは頻繁に起こります。
ボーディングスクールやジュニアボーディングスクールにおいても、受験において同じことがよく起こります。