教育のパラダイムシフト 12
<前日のブログに続きます>
英語圏の大学では、私立、公立を問わず、留学生の受け入れは極めて積極的です。その際、彼らが基本にする考え方が多様性(diversity)です。バランスよく世界から留学生を受け入れることにより、双方がその恩恵を得るように考えます。
この多様性という考え方は中学、高校のボーディングスクールにおいても全く同様です。そして、生徒を構成する人種バランスにおいて日本は今、とても有利な立場にあります。
中国、韓国からボーディングスクールへの出願がとても多いために、人種バランスが考慮され、受け入れ人数枠が出願するの割には小さいので両国の出願者のボーディングスクール入学難易度はとても高くなります。
基本的には、アドミッションオフィスは毎年、受け入れる留学生の全体に対する比率やその人種構成を決めて、その方針に基づいて新入生の受け入れを行います。新入生といえば、日本では中学、高校ともに1年生と決まっていますが、ボーディングスクールにおいては、高校であれば9年生だけでなく10年生からの入学もきわめて一般的です。ジュニアボーディングスクールにおいては、6年生、7年生、そして8年生からでも受け入れが行われています。
先日の余談として、ハーバード大学への入学を述べましたが、多様性を尊重するという基本からすれば、中国人出願者よりも日本人出願者のほうが有利です。同じような成績であれば、国籍バランスから考えて日本人志願者が合格する確率が高いということです。
この人種バランスは時として、合否の大きな要素を占めます。しかし、日本では、英語圏の大学に比べて人種バランスや多様性などは、まだ考慮するに値しないくらい海外からの出願そのものが少ないと思います。
それ故に、海外の大学に合格するための対策が日本式の学力重視となってしまう傾向があると思います。
ハーバード大学やオックス・ブリッジなどに入学するために、英語、数学など、合格の基準に達するようにモーレツに勉強して、入学したとしても、「それからどうする」ということが、事前に考えられていなければ、当然ながら入学してから問題が発生します。
私は、ある人の招きでハーバード大学に現役合格した学生と一緒に食事をしたことがありますが、彼はモーレツに受験勉強をして、すなわちTOEFL、SAT対策に明け暮れて、結果としてハーバード大学への合格を勝ち取ったという「ハーバード一直線」というイメージからは程遠い人でした。
つづく