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教育のパラダイムシフト 9 

<前日のブログに続きます>
「アメリカのボーディングスクールの授業では、ディスカッションばかりしている」これは、あるお父さんがわが子のジュニアボーディングスクールを訪問した時の率直な印象です。
日本の受験システムの実情を考えれば、ディスカッション、スピーチ、プレゼンテーション、リサーチなどの学習テーマは初等、中等教育では重視されることはありません。もちろん、学習指導要領などには、このようなテーマも盛り込まれていると思いますが、それを正直に実行して、受験対策が後手にまわり、結果的に進学先の偏差値評価が落ちるようなことになれば、学校が存亡の危機にさらされます。
更には、正規の学校でカバーしきれない部分を補完するために、日本では予備校、塾、そして家庭教師などのシステムが合理的にセットされます。
小学校から高校までの学習内容は明確に規定されていて、テキストブックも完備されています。
教える側、教わる側の双方にとって重要なことは、高校3年生までの基本的な学習内容をなるべく早く終わらせて、余った時間でそれぞれの生徒が目指す大学の過去問題を徹底的にこなす。結果、合格となれば、そこで中等教育のすべてが評価されるのが日本の教育の現実ではないでしょうか。
このシステムにおいては、ディスカッション、スピーチ、プレゼンテーション、リサーチなどの問題を想定して、それをどのように解決するかという思考プロセスや、自分自身がテーマを持ち、それに取り組み、実験や失敗を繰り返しながら、独自の結論に到達するという試行錯誤はほぼないと言っていいのではないでしょうか。
小さな時から、段階的に各学習分野のドリルが与えられ、それを反復練習することで学習プロセスを理解し、集中力を増し、良い結果を出す。初めは良くなくても、繰り返し行うことで、「誰にでもできます」というモーティベーションで子どもたちを訓練させる方式です。
この方式の欠点は、学習システムそのものが受け身であることです。そして、本人が好むと好まざるとにかかわらず、「やるべきこと」が決まっているために、それを無条件で受け入れなければならないというところです。
受け入れさえすれば、失敗はしません。安全にしかも安定して学習が実行できます。
つづく

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