教育のパラダイムシフト 6
<前日のブログに続きます>
日本の受験に比べてマニュアル化が難しいボーディングスクールの受験ですが、その主たる理由は、学校が生徒に求めるものが日本とは違うということにあると思います。ボーディングスクールは入学してくる生徒たちに対して、新しいことへの挑戦を常に歓迎し、あるときはそれを積極的に生徒に促します。
発表する機会や自分の意見を述べる機会をふんだんに作って、生徒たちに新たな自己を見出すことを求めます。
日本の場合、受け身の学習が中心に行われています。受け身とは、暗記することです。考えるというよりも覚えるということです。そして、どれだけ覚えたかが試されます。この流れは、指示するほうに大変都合が良くできています。そして、指示される方は、指示の傾向を理解し、予測することに長けることが、良い結果を生むことと理解するようになります。
受け身の教育は、安定した社会、会社には合理的に機能すると思います。すなわち、指示されたことを的確に正確にこなすことができますからきわめて効率のいいシステムを作り上げるのに適していると思います。ところが、会社も社会も安定期が永遠には続きません。そして、今、世界が経済的には縮小しつつあり、その変化は激しいと言わざるを得ません。
余談ですが、私の周囲の帰国子女と呼ばれる人たちは、日本のみで教育を受けた人に比べて新たなことへのチャレンジや既存の方法やシステムに固執することが少ないように思います。たとえば、留学業務をビジネスとして確立させた人々は、すべて海外生活を経験しています。彼らは自らの体験をもとにして新たなビジネスを立ち上げています。
それまでの現地学校と日本を結ぶ中間受け入れ機関や人を通さずにダイレクトでやりとりをするという今では当たり前ですが、半世紀前には画期的で既存のシステムを壊したのは、留学体験者でした。
彼らは、自分の好きなことを、熱意をもって、既成概念に捉われずに進むことによってあらたな世界を開拓したと言えると思います。
変化とスピードが求められる現代において、その発想の起点が初等、中等教育からあるべきではないか、そしてそれにふさわしい環境をボーディングスクールは提供してくれると私は信じています。