イギリス小学生留学 - 日本人としてのアイデンティティー
今回のイギリスジュニアボーディングスクール訪問で数名の日本からの留学生に会いました。アメリカのジュニアボーディングスクールへの留学が12才から13才くらいの生徒が多いのに対して、イギリスは8才から10才くらいと年齢が低くなります。
アメリカの私立ジュニアボーディングスクールで10才以下の留学生を受け入れる学校はありません。
Cothill Houseでは、イギリスで学んでいる日本からの留学生の一人がイギリス人とペアになって学校施設の案内をしてくれました。アメリカの学校での施設案内を日本人留学生がする場合、時々、英語が混じりますが、基本的にはすべて日本語です。
今回のイギリスのジュニアボーディングスクール訪問は、参加者がすべて英語を理解し、4人のうち1人は日本語を理解しなかったので、コミュニケーションは英語で何の支障もありませんでしたが、おそらく小学校の単身留学生にとっては、日本語を使う機会が日常生活のなかでは稀なため、英語のほうが自然だったと思います。
ある8才の日本からの留学生と寮で会った時も、ハウスペアレント(寮母さん)がYou may speak Japaneseというと、そこから言語スイッチが日本語に変わり、彼は5分ほど日本語でイギリスのボーディングスクールライフを語ってくれました。
彼との会話で、「つまり」とか「なるほど」といった小学生があまり使うことのない単語が散見されました。私の勝手な想像ですが、その生徒は週末などに親とスカイプなどで会話をする機会を除いては、おそらく日本語でのコミュニケーションは無いのではないかと思います。それ故に、大人用語を使うのではないかと思います。
小学校からの留学の場合、まだ子どもたちの日本人としてのアイデンティティーが確立していないために、現地に順応することは容易であっても、また英語を習得することが短期間で行えたとしても、自分がどこの社会に属していて、どのような価値観を生活の中で有し、それに従って生きていくといういわば哲学をどう学ぶかという課題があります。
私の結論は、ボーディングスクールの場合ですが、夏休み、冬休み、そして春休みなどは、母国に帰国して親や友達と一緒に過ごし、留学生本人が物理的、精神的に帰る「家」をしっかりと持つことを大切にすることで、アイデンティティーは保たれるのではないかと思うのです。
つづく