留学適齢期を考える-3
<前日のブログに続きます>
昨日は、スイス、ルガノにあるTASIS(The American School in Switzerland)の現理事長さんの5歳児からのボーディングスクール入学を例に取り、早期の留学事例としました。
結局、親が子どもを留学させる時期というのは、それぞれの親が主体的に決めるべきことであると思います。その時期はTASISのフレミング女史のように5歳にしてわが子をボーディングスクールに預けるというケースもありますが、高校を卒業するまでは時期尚早として留学をさせないケースが、日本では一般的ではないかと思います。
高校生になって既成の勉強に不満を持ち、受験勉強にどうしてもなじめず、「自分とは何か」といった哲学的意識に目覚めて自分のなかにある好奇心が旬の時期に、親の反対で留学を果たせなかった人たちもかなりの数にのぼるのではないかと思います。
33年間留学に携わってきた私の経験からすると、親の意識としては明らかに早期から留学させる傾向が強くなっていると思います。80年代、90年代は高校1年生くらいの留学相談が主流でした。おおよそ初めの問い合わせは留学したい本人である場合が多かったのですが、現在の問い合わせの主流は本人ではなく、親です。
もちろん、33年間で通信環境は革命的に変わりました。今では、パソコン一台あれば、誰でも瞬時に自分が知りたい情報を世界のネットワークから収集することができます。それ故にこの33年間での10代の留学生の変遷を単純に比較することはかなりの無理がると思います。
しかし、世界に目を向ければ、大学ではなく、すでに中学、高校時代からより良い教育環境を求めて、その選択肢を世界に求める傾向は中国、韓国に顕著に見られます。また、ソビエト崩壊後、ロシア人がスイスのボーディングスクールを席巻しています。ちなみに、第2次大戦後の50年代、60年代、アメリカの経済的成長が著しかった時に、スイスのボーディングスクールを席巻したのはアメリカ人でした。
これからの時代、これだけ経済がオープンになっているわけですから、それを受けて教育もよりオープンになるべきではないかと思います。日本国内でのグローバル化の対応を教育の世界で待っていても遅れるばかりです。10年前は、おおよそ入学難易度はなかったジュニアボーディングスクールも今ではなんと中学校一年生のレベルでSSATスコアを要求する学校があるのです。
つづく