その1 留学の必要性 ボーディングスクール留学
なぜ留学をしたいのかとオフィスを訪れる10歳から15歳くらいの生徒に尋ねると正直なところ明確な答えは返ってきません。しかし、話を続けていくと、たどり着くのは、下記のようなことになります。
① 英語を話せるようになりたい
② 外国のことをもっと知りたい
③ 外国人の友だちをたくさん作りたい
日本の子どもたちで留学を目指す生徒は、おおよそ小学校時代から学校での学習のみならず、帰宅後にも塾に通いあるいは、家庭教師などをつけてかなりの学習量をこなしているにも関わらず、留学の動機を聞かれても答えられないのです。
その理由は、単純に日々の学習のなかで「なぜ」を追求するような習慣がないからなのかもしれません。あるいは、日々の生活のなかで協調性、物分かりの良さ、思いやりなどが尊重される故に、自己主張や意見を論理的に説明する機会が極端に少ないので、いきなりそのような質問をされても「何ていったらいいのかわからない」というのが留学を希望する生徒の本音なのかもしれません。
留学というとまず始めに「語学力」が必要とされると思われがちですが、10代前半の留学においては、英語学習よりも前に親が子どもに託す世界観や価値観のほうがより重要であると私は確信しています。なぜならば、子どもたちの学力はこれから伸びていくものであり、その伸びしろは、どこのジュニアボーディングスクールに行くかということよりも、彼ら自身の動機付けが優先されるからです。
自らの動機付けを獲得することは、子どもたちにとって簡単ではありません。それまで日本で培ってきた常識、そして美徳など、長年かかって身につけてきた価値観とは別の全く新たな価値観を作ることで、ボーディングスクールという社会に適応するのですから、それがいかに知恵と努力を必要とするかは、自明のことがらです。
しかしながら、留学していく中学生、高校生たちは、実に驚くべきスピードと正確さをもって、新たな環境に適応していきます。
彼らの真骨頂は、その後の教育でこそ発揮されるべきなのです。それは、これからの世界のなかでの日本の方向性を考えるうえで、絶対必須ともいうべき条件だからです。
つづく