その1 ボーディングスクールの入学難易度
ここ2-3年の間にアメリカのボーディングスクールの入学難易度が上がっています。すなわち、学校が志願者に要求する英語力がかなり高くなっているのです。具体的には、多くのボーディングスクールでTOEFLのスコアを要求するようになりました。ほんの数年前までは、SLEPテストの結果提出で認められていた学校群が今は、TOEFLJuniorを飛び越えて、入試考査にTOEFLのスコアを要求するのです。
その背景として考えられるのが、第一に志願者の英語力そして学力レベルの向上です。その鍵を握っているのが、中国からの志願者です。彼らは友人、知人、親戚、縁者などのネットワークがとても広く、ボーディングスクールに在学中の生徒とその家族からの情報がそのネットワークを通じて広がります。また、出願者数がとても多いため、一国からの合格者を制限しているボーディングスクールが多いなかで、おのずと中国人志願者同士の競争が激しくなります。面接を重視するボーディングスクールの入試においては、英語力が合否判定に大きく関与しますから、TOEFLやSSATの準備学習も激烈に行っていて、結果的にボーディングスクールの留学生の英語力の基準が引き上げられていると考えられます。そうでなければ、ボーディングスクールの英語力要求度がここ数年間で大きく変化はしないと思います。
中国人志願者の影響は結果的に日本人志願者にも表れます。中国、そして韓国からの志願者の多くがかなり高いTOEFLスコアをマークするなかで、日本からの志願者だけが低くては、合格は望めません。ESLクラスがあるとTABSやBoarding School Reviewの学校情報に明記されていても、実際の運営はその年々の留学生の英語力によります。学校としてはなるべく留学生もメインストリーム(ESLなしのクラス編成)で留学生にも勉強してもらいたいわけですから、出願に際しては、TOEFL、およびSSATスコアの提出の有無を抑えなくてはいけません。
ボーディングスクールでは理想的には、留学生の全体に占める割合は10%、そしてその構成はなるべく多くの国からということですが、ESLつきのボーディングスクールにおいては、10%は中国人留学生で占められ、後の10%程度がアジアを中心にヨーロッパ、南米、アフリカの各大陸からで構成されているというのが現実です。
(つづく)