その2 留学生の本音、親の本音 ボーディングスクール留学
留学してから、親と子が再開する機会であるペアレンツウィークエンドを例にとって、子どもの本音について昨日のブログで私は述べました。
「(家に)帰りたい」という子どもの甘えにどう対処するかですが、基本的に親が子どもと一緒に不安になると、すべてが負の連鎖を起こす可能性があります。常に良い方、明るい方に親が考えて、「必ずできる」という信念のもとに子どもを鼓舞することがとても重要と私は考えています。
子どもとしては、自分の今の苦しみ、辛さを親にも共有してもらいたい、解ってもらいたいとあれこれ発信をしてくるわけですが、その発信はほとんどの場合、親、とりわけお母さんに限定されていると考えていいと思います。すなわち、本人を取り巻くかなり身近な人でさえも日本から来た留学生の本音を「知らない」のが、現実なのです。
現状に対する不満や否定的な気持ちがない場合、子どもたちの本音として「親への発信」は極めて少なくなります。「知らせが無いのは良い知らせ」という格言は留学生にそのまま当てはまります。
少しくらい親に気を遣って、元気であることの発信や写真などを送ってきてもいいと思うのですが、当の子どもたちは、新たな環境で忙しく、一日があっという間に過ぎてゆき、限られた時間と場所のなかで、日本の親に発信することが難しいということは良くあることです。
日本の親にとっては、この沈黙が、時々どうしようもなく辛く、わが子の薄情さにイライラを募らせます。
ネガティブなことの機関銃のような発信も困りものですが、沈黙についても親は当惑します。
いずれの場合であっても、子どもからの情報の受け手である親が子どもたちとのコミュニケーションの軸となる考え方がぶれなければ、彼らはやがて落ち着くというのが、コンサルタントとしての私の本音です。また、長い沈黙についても、お母さんもいずれ落ち着くときが必ずやってきます。
子どもたちは、今までに体験したことがないような窮地に立たされると、無意識に出来ない理由を探し始めます。それは段々と膨れ上がりほっておけば、本人の意識の大半を占めるようになります。そして、唯一コミュニケーションが可能と思い込んでいる親に向けて、自分の正当性を認めてもらうために否定的論理をがっちりと構築するに至るわけです。
わが子の窮地を救えるのは、親の信念しかないように思えます。困難から逃げずに、それを克服してほしいという親の思いが子どもに伝わるまで、子どもの精神的成長を信じて、すべての手段を使って、彼らを誉め、讃え、鼓舞し、そして叱るしかありません。
そのようなプロセスをおおよその親が経て、子どもたちが卒業を達成します。ですから、お母さん方が「(子どもの留学を通して)私が成長しました」というのも尤もなことです。