留学生の本音、親の本音 ボーディングスクール留学
多くのボーディングスクールでペアレンツウィークエンドが実施される今の時期、日本からも多くのお母さん、お父さんがわが子の学校を訪問します。週末を親と過ごした留学生たちは、ほとんどが実は学校に「戻りたくない」と思っています。勉強ができる生徒もそうでない生徒も、スポーツが得意な生徒もそうでない生徒も、音楽や演劇、あるいは絵画、写真、陶芸などに偉才を発揮する生徒もその気持ちに変わりはないようです。もちろん、実際に学校に戻らない生徒は一人もいませんが、それほどまでに心地よいのが家族なのでしょう。
子どもの意識に対して、時々お母さん、お父さんも冷静さを失います。親が思うほど、子どもは感情に押し流されるわけではなく、一時の「甘え」は親に対して自由奔放に表現しますが、彼らは帰るところを間違えはしません。むしろ、その甘えこそが親子の絆の深さと太さを象徴しているように思えます。
もしかすると、ペアレンツウィークエンドに学校訪問をお母さん、お父さんのなかには「来なければよかった」と感じられる方もいるかもしれません。しかし、子どもの甘えが度を過ぎており、学校に帰りたくないと泣き叫ぶような状況であったとしても、その時こそ、親子が正直に、本音で、お互いに向き合えることをむしろチャンスと考えるべきではないかと思います。
「あれだけごねたのに、次の日になったらまるで別人」というお母さんからのメッセージを何度も受けるうちに、子どもたちの心理状態や親の子に対する姿勢を私は理解できるようになりました。その根底には、自分の子どもの留学時の親としての体験があります。
重要なことは、子どもの近い将来、あるいは遠い将来を予測する時に、悪い方に考えないことだと思います。「もし、(わが子が)学校をやめたいと言い出したらどうしよう」と考えて、あれこれ対策を練るよりも、「必ずできる、絶対できる、そう(私が)信じてあげなければあの子はくじけてしまう」という考えを貫いたほうが、結局は子どもも良い方向に向かうのではないかと思います。
(つづく)