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その1 グローバル社会と相互理解

「世界がもっと狭くなりお互いに肩をふれあい話し合う機会はますます多くなる」、これは1970年に書かれた山本七平著、「日本人とユダヤ人」に書かれていたフレーズです。彼は、「それゆえに日本人が海外の人々との相互理解に通じると安直に考えるな」と来るべき時代を戒めています。
グローバル社会の到来を見越した山本さんの見識に感心、感嘆するばかりですが、彼の将来へのメッセージを真剣に捉えなければならない時代ではないかと思います。さらに山本さんはパレスチナ問題に触れ、それは土地争いでも民族の争いでもない、体制の争いであると断言しています。
体制を辞書で引くと、「一定の地域や社会ないし組織において,行為者が長期にわたって従っている原則や規範,また行動のルールや政策決定の手続の総体をいう。」と述べられています。今、世界が抱えている課題の一つは、それぞれの国や地域がお互い尊重しなければならない「体制」に対して、これからの世界を担う子どもたちが、すなおな心と体で学ぶ準備が整っているかどうかにあるのではないかと思います。
一方で、経済はどんどん成長し続けています。止まるところを知りません。すでにその世界においては、国境という垣根は消滅したといっていいのではないでしょうか。広義な意味での「商品」は最も開発しやすいところで生まれ、最もコストがかからない所で生産され、最も高く売れる所に流れていきます。この現象自体は悪いものではないかもしれませんが、今の世界、結果として、多くの国が借金を抱え、それを補うためにお金が印刷されるという、人類が今までに経験したことのない事態がうまれそうな雰囲気です。その実態は明らかにされなくても、多くの人たちが生活の肌感覚で「おかしい」と思っています。
これからを担う子どもたちに課せられる未来という宿題は、ことのほかその提出期限が迫っているのではないかと思います。
子どもたちが自分たちの国、地域、そして自分が育った「うち」に誇りが持てるように、未来に希望と夢が持てるように、自らそのための行動が起こせるように、教育はあるのだと思います。
グローバル社会の相互理解は、決して受け身でやってきません。子どもたちの好奇の目で、しなやかな心でそれは、考えられ、理解され、そして推進させられるために、10代のなるべく早い時期に世界に興味を持つ端緒が開かれることを期待します。

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