ハーバードに行かせよう―その3
<前日のブログに続きます>
―ハーバード大学入学の可能性で最も大切なことは、英語力や学力ではありません。人間としての総合力です
「総合力?どのようなことでしょうか」
―たとえば、TOEFLは最低でも100点以上、SATは2200点以上、高校での成績はほぼオール5、加えて体育、芸術、音楽、社会活動、学校活動などに顕著な実績があること、そしてなぜハーバード大学に入りたいのか、何を勉強したいのか、将来どうしたいのかなど、独自の見解を解りやすく英語で述べる力も要求されます。
「えっ、テストで最高の得点を取るだけでは入学できないのですか」
―できません。そもそも、ハーバード大学、そしてアメリカの他のどのような大学でも、大学独自の『試験』がありません。アイビーリーグを目指しているエリートたちがTOEFL対策やSAT対策に躍起になっているなど、聞いたことがありません。総合力については、エイミー・チュア著、齋藤孝訳、タイガー・マザーに詳しいのでぜひ読んでみてください。
「では、うちの子にそれができるのでしょうか。親として無理だと断定はしたくありません。でも、その可能性を追求するのは並大抵なことでないことは理解できます」
―総合力とは、子どもたちに備わっている力を出し切ることです。もちろん、学力に偏重してはいけません。
「でも、勉強しながら、スポーツや他のことにそれほど熱心に取り組めますか」
―できます。それがアイビーリーグに入学するための当たりまえですから。
「信じられません。どうやったらそんなことが可能なのですか。私の知る限りでは東大を目指す人は、小さなころから熱心に勉強しています。どんな問題にも対応できるように、繰り返して勉強しています。」
―勉強だけで、これからのグローバルと言われている世界で生きていけるでしょうか。
「もちろん、勉強だけがすべてではありません。そのために大学に行くのではないですか。そこで人間を磨き、社会を経験し、人脈を拡げて社会人になっていきます」
―高校まで必死に勉強のみに打ち込むのみの人間が、大学に入ったらそれほど都合よく人間の幅を拡げられるものでしょうか
「それが、日本の教育です。高校までの教育に耐えられないようでは、立派な人間にはなれません。」
―では、立派な人間とは何ですか
「高校まで、しっかり努力して第一志望大学に入り、そこでの4年間の経験を十分に生かして自分の思った人生を歩める人です」
お母さんと私の議論は終わりがないように思えました。それをわき目で見ていた本人はやがて居眠りを始めました。
つづく