英語学習 ― 使える英語のために
中学、高校留学を目指す生徒や、留学して間もない生徒に英語指導をしていると、英語学習に関してたくさんの貴重な発見をします。日本の中学生、高校生の多くがなぜ英語をマスターできないのかというテーマにおいてもとても良く解ります。
日本の中学、高校で試される英語力というのは、英語をどれだけ知っているかということが中心であり、英語でまとまったストーリーを理解したり、英語で自分の意見を述べたりという基本作業が見事に飛ばされてしまっています。
ストーリーを読む作業は、「英文読解というクラスでやっているではないか」と思われるかもしれませんが、長くても30行程度の文章にストーリーはありません。その内容も科学、社会、文化に関することがほとんどですから、10代の生徒の興味をそそる内容とは程遠いと思います。
英語で自分の意見を述べるということに至っては、ゼロといっていいのではないでしょうか。つまらない数行の日本語の文章を的確な表現を使って英語に直すのが、英作文の実態で、そこにはその英文を作る人の意見など入り込む余地など全くありません。
かくして、ぶつ切りにされた英語ばかりが生徒たちに教材として準備されます。中高生のための分厚い文法解説書はどこの書店でもたくさん置いてありますが、英語初心者向け物語本などはありません。
なぜでしょうか。受験に役立たないからです。では、受験に役立つ英語とは何か、楽しくもない英文解釈とひたすら暗記作業を強いられるような英作文、それらをこなすための英語知識です。
「もったいない」と思います。少なくとも、これだけの時間と労力を英語学習にかけているのに多くの生徒がそれを無駄にしています。そこに使われている税金をより効果的に使うために、英語学習を実用英語と受験専用英語に分けて、生徒が選択できるようにしたらより有効ではないかと思います。
大学受験でも英語を必須としなくてもいいと思います。それよりも、生徒がより興味を持ち、役に立つようなことを教えてあげたらいいのではないかと思います。
留学すれば、否が応でも英語小説を読まされます。当たり前のことですが、日本の英語知識では、歯が立ちません。しかし、英語学習の方法を少し工夫すれば、必ずだれでも読めるようになります。
(月曜日につづく)