学習を渇望する環境とは-小・中・高校留学
<前日のブログに続きます>
どうしたら生徒にやる気を起こさせるかということは、教育に従事する人、特に中等教育に携わる人にとって、最大の関心事であると思います。もちろん、日本やアメリカに限ったことではなく、それはグローバルな教育におけるテーマです。
英語圏のボーディングスクールでは、生徒をやる気にさせるためのさまざまな仕掛けを備えていることは、これまでこのブログで繰り返して述べてきたとおりです。それに対して、日本での教育が画一的、単調、暗記中心などと生徒には思われています。
「教育を世界で選ぶ」ということが、私の教育コンサルタントとしての基本理念ですが、異文化のインパクトは、それを体験する10代初めの生徒たちにそれまでの人生を覆し、新たな人生の価値観を形成するのに十分であると思います。
「英語でのコミュニケーションが自然にできるようになった」、「いろいろな子と友達になれた」、「いろいろなものを見ることができた」など、異文化体験の効用は日本の歴史が始まって以来、歴史を作った人々から一般の人にいたるまで、多くの機会を通じて語られてきました。
しかし、これらのポジティブな異文化礼賛の影には、より膨大な失敗が隠されていることを、私たちは意識します。「日本も満足に知らないうちから、海外に出れば日本人でなくなってしまう」、「無国籍人間になる心配はないのか」、「高校の1年間を海外で過ごしたが、結局英語は話せるようにならなかった」、「海外にでたものの、日本人とばかりつるんでいる」、ネガティブな意見も枚挙にいとまがありません。
私、個人として今までの経験から言えることは、「かわいい子には旅をさせろ」という日本に古くからあることわざに留学、特に中等教育留学の真髄があるということです。このことわざはグローバルに通用すると思います。すなわち、今までの自分の常識を根本的に疑ってみるような環境にあえて接することで、人は大きな発見とさらにそれを追求するための意欲や好奇心を喚起させられるということです。
ただし、何かを発見するためには、それがいかなることがらであっても、自分の精神に対する強烈な衝撃とそれを回復するための自助努力がなければ、ゼロに等しいということを理解しなければなりません。
(つづく)