その2-英語力習得にかかる期間 学習渇望
<前日のブログに続きます>
小さければ小さいほど、言語学習が容易といわれるのは、学習者が何の苦労もなく生活から「言葉」を吸収することができるからに違いありません。苦労がないということは、精神的抵抗がなく、何でも受け入れることです。
留学という状況でも全く同じことが言えると思います。言葉を学ぶことに強力なブレーキをかけているのは、学習者の中にある既成概念です。今までの常識が大きな抵抗となります。これに邪魔されると、留学しても言葉をまともに学習することができません。たとえば、正解という枠を作りそれに固執する。教えられることを求め自分から学ぼうとしない。人を批判して自分を正当化する。自分の殻に閉じこもって外に出ようとしない。新たな生活環境に適応しようとせずに現実を否定的に考える。
ボーディングスクール教育の最大の特徴は多様性です。お互いの違いを認め、そこから学ぶというものです。統一された教育内容、統一された評価、統一されたランキングなど、日本の規格化された教育においては、多様性という概念は中心にはありません。また、教育の内容も、意見を述べるということよりも、○か×かを問うものが多いため、自ら考えて動くという作業が苦手になります。学校でも、塾でも、家庭教師でも、予備校でも、通信教育でも、日本の場合、与えられることが圧倒的に多い日本の学習文化は、英語圏に見られない大きな特徴です。
しかしながら、ボーディングスクール教育においても、日本の教育システムのなかにおいても、そこで学ぶ生徒のやる気がどのようなきっかけで起こり、それが機能するかということについては、教育システムとは全く別に機能する個人の問題となりそうです。
いくら教育理論や概念が立派であっても、生徒に強要はできません。無理やり教えても、無理やり考えさせても、生徒が望まないのであれば、教育は役に立ちません。では、役立つ教育というのはどのような環境から、あるいは状況から発生するのでしょうか。
学びたいときに教えるから十分な効果があります。生徒の需要を喚起して、そこに十分に供給することができれば、いいわけです。そのために最も必要なことが、彼らが学習することを渇望する環境です。
(つづく)