その1-英語力習得にかかる期間
小学校時代に平均的学力があり、ある程度の勉強の習慣があれば、中学校1年生の9月から留学1年間でおおよその英語力はマスターできると言えます。ただし、その条件として、初年度の留学生活で相当の苦労が必要です。その理由は、苦労すればするほど、その状況を改善しようと本人がこころの底から努力をするからです。
小学生から中学生になって、日本の場合、教育環境や本人を取り巻く状況がワンランクアップします。ランクアップで求められるのは、本人の自主性、主体性といった能動力ではないかと思います。学校で教えられる量と質の向上にともなって、自ら考え、判断し、行動しないと追いつかなくなります。また、今までは、お母さんの指導のもと、言われたとおりにやっていれば、問題なかったのですが、自分の精神的、物理的成長に伴い、行動半径が拡大し、精神分野も拡大するので、お母さんの意見を100%聞くわけにもいかなくなります。
ものごとの好き嫌いに対して、自分を見つめることができるのもこの時期です。このような時期に「留学」をした場合、留学当初の混沌・混乱は想像に難くありません。しかし、ネガティブ思考を断ち切って、ポジティブサイドに目を向けると、自主性・主体性の芽生えの時期に、異文化を体験するということは、困難に立ち向かうネバーギブアップの精神と、「やればできる」という信念を自然に本人に植え付けることができます。さらに、生活においては、「黙っていては」やっていけないために、ミスを恐れず、自分を相手に伝えるという意識が身につきます。
結果として、学習を意欲的に渇望する状況が生み出されます。
本人から望まない限り、学習は効果を上げません。いやいやながらやる勉強はおのずとその限界があり、それ以上の向上を期待することはできません。
それが十分に見て取れるから、親はわが子の将来を心配するのです。
「こんな生活をしていたら、成功するわけがない」
「あまりにも、勉強しない」
「この状況で、大学に合格するわけがない」
親は勉強の主体ではありませんが、わが子の意識は手に取るようにわかるものです。では、どうしたらいいか。答えは一つしかありません。やる気に火をつけることです。留学の持ちうる最大の学習効果は、現地に入ったその日から、すべてが不自由になるということです。
(つづく)