その3 留学のための英語準備 - 中学校からの留学
無味乾燥な暗記主体の勉強に加えて、追い打ちをかけるように例外的表現を試験に出るという理由で学ばなければならない日本の高校、大学受験生に必要とされるのは、我慢することと、集中することではないかと思います。彼らにそのような精神性が欠ける場合は、「現実逃避」とみなされてしまうこともあるようです。
国内受験のプレッシャーから解放されて、中学1年生の時点で留学し、半年ほどするとどのくらい英語ができるようになるかというと、日常生活ではほぼ言葉に不自由することがなくなります。
問題は、その次の段階です。
日本で十分な英語基礎教育を受けていないのが一般的な中学生留学の現状ですが、彼らの初期の留学生活での英語は、現地の生徒からすれば、年齢に見合った適切な表現のものではありません。
たとえば、「私は2年間サッカーをやっています」を英語に直すと、
I play soccer two years.というような表現になります。
現在完了形の「継続」表現を使うことも、「2年間」という表現にforという前置詞が入ることもとばされています。その理由は、生活のなかで、耳から入ってきた情報をもとに、自分で英語を組み直すために、自分の理解を超えるような内容は、吸収されずに捨てられてしまうのです。いわば、言語学習における消化不良状態のまま、事態が進行していきます。
通常の場合、半年ほどの初期順応期を過ぎれば、生活が安定して、周囲を客観視する余裕も出てきますから、そのあたりから留学生の本格的な学習がスタートします。この時期が留学生の意欲と学習力が同調するのに最も適している時期ではないかと思います。すなわち、新たな生活の場での規則や習慣がおおよそ身につき、友だちや先生ともうまく付き合える術を学びつつあります。
そこで、英語のハンディを克服することが、次の段階に到達するために絶対に必要だという認識に自分が納得できるのです。
関係代名詞や不定詞などの専門用語を知らなくても、もちろん英語は話せますが、これらを理解したほうが、より英語の勉強がしやすくなると自分の学習意欲に火がつく最適な時期を迎えています。
(つづく)