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日曜コラム ― 蝉

夏たけなわです。ここ2週間ほどの間にいつのまにか蝉が鳴きはじめ、
梅雨があけて、本格的な暑さがやってきました。
そして、今週末、オーシィ、ツクツクとツクツクボウシが鳴いているのが、
聞かれました。
子どものころに叔父が、
「これ(ツクツクボウシ)が鳴きはじめると夏も終わりだ」と言っていたのを、
思い出しました。今から、半世紀も前のことですが、
地球温暖化の影響がツクツクボウシをして、早めに鳴かせたのかもしれません。
しかし、あぶら蝉が鳴きはじめる時期はそれほど変化しているとは思えないので、
ツクツクボウシの鳴く時期が単に1-2週間早まっているのかもしれません。
関東にくらべて、少し暑い関西は、蝉がシャキシャキと鳴きます。
とてもそれが、やかましく、騒がしく、暑苦しく感じるのは、
私だけでしょうか。あぶらゼミでさえも、騒がしいのに、
クマゼミの大合唱は閉口してしまいます。
アメリカに留学していた時、ルームメイトだったデグチ君が、
自分の故郷の夏の風景について熱心にエッセイに取り組んでいました。
かれから、「オイ、英語で蝉のこと、これ何て発音するんだ」と質問されました。
辞書を引くと、cicada(シケイダ)とありますが、子どもたちが、
虫かごと虫取り用の網を持って、雑木林を歩き回っている光景を
私はアメリカで目にしたことがありません。
デグチ君は、夏になると蝉を取ったり、川で魚をとったりと、
誰でも日本人なら体験する夏の子どもたちの遊びをしみじみと英語で
発表したのですが、それを聞いていたヨーロッパからの留学生たちは、
ぴんと来ないようでした。
アメリカに嫁いだ私の遠縁の叔母が、
「こっちの子は蝉なんか取らないわよ。気持ち悪いくらいにしか、思わないんじゃない」と言っていました。
なるほど、アメリカの子どもたちにとっては、蝉は生物に興味を持っている
子どもくらいしか、採取に興味がないのではないかと思います。
教育においては、アート、スポーツなどいわゆる学業以外の感性や体育にも
熱心に取り組んでいるアメリカですが、自然への興味は日本とはだいぶ違うようです。
今の日本の子どもたちは、蝉を採るのでしょうか。
私が子どもの頃、蝉がたくさん採れる夏の真っ盛り、お盆に殺生はいけないといって、
母や祖母から蝉を採ってはいけないと言われて、夏の遊びを3日間我慢した
記憶があります。
あの頃と今、夏の暑さはすこし増しましたが、蝉の音は変わりません。

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