その3 書く力をつけるために - ボーディングスクール留学
<先日のブログに続きます>
Bishops College Schoolというカナダのケベック州のボーディングスクールを訪問した時のことです。その学校の国語(英語)クラスには、紙や段ボールで作られた人形がたくさん飾ってありました。「美術のクラス?」という私の質問に先生は、「いいえ、10年生の国語クラスです」との返事でした。
これらの人形は、歴史上の人物をイメージして作られたものであり、生徒たちはその人々の偉業をリサーチしてそれを文章にまとめるという作業の過程で作られたものでした。創作することは、面白い、楽しいという生徒たちの意識を利用して、ともすれば単調な作業になりがちな文章作成にインパクトを与える目的のアート作品でした。
「今日は、良い天気だから授業は外でやりましょう」ということもボーディングスクールではよくあることです。教科書があり、教室でやることがしっかりスケジュールされる日本の授業のあり方と違い、ボーディングスクールの授業は、先生の独自性が強く、国語のクラスに関して、教科書はありません。
書くことへの親しみは、このような学習環境から生まれるのかもしれません。勉強の基本はその教科に興味を持ち、自主的に学習することにあると思いますが、もし書くことが先生からの強制で、興味が持てない分野に関していやいやながらに生徒が取り組まなければならないとすれば、良い成果がそこから生まれる確率はとても低くなってしまいます。
興味を持った歴史上の人物を自分の視点で調べてみる。その過程で、「なぜ、それほどの偉業ができたのだろう、自分であればどうしただろう」という疑問が生じる。そこで、さらにリサーチを進めていき、納得できるような事実を発見する。ここまでくれば、生徒たちは書くことについて、「苦労」とはならないのではないでしょうか。
もちろんそのためのプロセスには、迷いや関心が薄れることも多々あるでしょう。それをサポートするために、国語の授業に生徒たちが興味を持ちそうなアートの要素を取り入れて、授業を多様化していると思います。
少人数制のクラス、先生と生徒の親密さなどから生まれる教育的メリットは大きく、書くことへの親しみと楽しさを作り出すノウハウを、ボーディングスクールは熟知していると思います。