週末コラム 錦織圭選手 USオープン前哨戦
テニスの錦織選手、今、全米オープンテニスを前にして、
アメリカ、特別区ワシントンDCで開かれている
シティオープンテニス大会で8強まで進んでいます。
ベスト16の対戦相手は、19歳のシャポバロフ選手でした。
名前からして東欧の選手と思いきや、彼の国籍はカナダです。
余談ですが、今後、プロスポーツの世界では、国籍の多様化が進歩して、
世界のどこの国が一番選手自身にとって、良い国かで、
その国籍を決める時代になるのかもしれません。
さて、今日の試合、結果は7-6、6-3で錦織選手のストレート勝ちですが、
その内容はストレート勝利とは言えません。
一言でいえば、安心して見ていられません。ハラハラ、ドキドキの連続でした。
錦織選手の最大の強みは、ストローク戦による粘り強い返球にあります。
決して、欧米の選手によく見られる強烈はフォア、
バックハンドのショットではないと私は思っています。
自身もテニスを長くやっていて痛感するのは、
ミスの多い方が負けるという理屈です。
19歳の新鋭、シャポバロフに対して、錦織選手は自らの実績から来る
経験を最大限に生かしてプレーをすると思われたのですが、
ミスの数はシャポバロフとほとんど変わりませんでした。
それ故に、試合を見ていると、叫びたくなるのです。
21歳のシャポバロフと28歳の錦織、年齢的には決して対等ではありません。
そして、錦織選手はシャポバロフに負けたこともあります。
であるならば、負の経験からの学習が必須と思われますが、
今日の試合、スコアほどには、一方的ではありませんでした。
何が問題かですが、
私は錦織選手の精神の安定性にあると勝手に思っています。
世界ランキングに入るような選手は
どこで番狂わせが起こってもおかしくないと思います。
それでも差がつくのは、革新的な攻めの意識と
自分の技量を見抜く冷静さではないかと思います。
焦らず、急がず、的確に打ち返し、相手の隙を攻めるという意識が
世界の継続的なトップランカーに見られる特徴ではないかと思うのです。
セカンドサーブをたたいて一発で決めようとしたり、
無理な態勢や十分な引き付けができないままのオープンコートへの
ショットは結局ミスに結びつくのではないかと私は思います。
錦織選手のたぐいまれな才能と体力は、
4大大会を制するだけの力を持っていると思います。
彼のUSオープンでの活躍を期待します。