日曜コラム ある剣士の高校受験
私の通う剣道場、孝道館の中学生エース、
ケンタ君が五月に行われた市の剣道大会、中学生以下の部で優勝しました。
審判役員として大会に参加していた孝道館の館長先生によると、圧勝だったそうです。
そのケンタ君、道場での稽古に来ていません。
土曜日、夜の稽古で久々にケンタ君のお父さんにお会いしました。
―ケンタ君、(剣道の)部活動で活躍されていと思いますが・・・。
「いやー、今日は塾で練習に来れないのです」
―あっ、彼は中学校3年生でしたか。
「はい、そうなんです」
―早いですね。また、市の大会での優勝おめでとうございます。
「まだまだですよ」
―高校になっても彼は剣道を続けると思いますが、彼ならば剣道推薦もあるのではないでしょうか。
「そうですね、県大会でベスト4になれば、それも考えられると思います」
―彼ならば、出来ると思いますが、どうでしょうか。
「うーん、簡単ではないと思います。たくさん強い選手はいます」
―松高(埼玉県立松山高等学校:剣道部が強い)が第一志望ですか。
「そうですねぇ。松高で剣道ができたらいいですねぇ」
―今の松高の剣道部の先生は、私の同級生でした。剣道部の部長と私はクラスメートで、私自身は剣道をしていませんでしたが、彼に誘われて何度か剣道の練習を見学したことがあります。その時の副部長が今の松高の剣道部の顧問先生です。
「その先生は、埼玉県の高校での剣道指導でとても有名です」
―そうですか。彼の高校時代の剣道は、動き回る剣道と私の友だちの部長は言っていました。高校時代に三段を取ったということを今でも覚えています。
つい余談に花が咲いてしまいました。私が剣道を始めたのは40歳です。
さて、ケンタ君ですが、彼の大好きな剣道も返上して今は、塾で受験対策です。
剣道の稽古では、素晴らしいスピードと独特の技を持つケンタ君ですから、
出来ることなら、運動と勉強のバランスをうまくとって、こんな時こそ
ぜひ剣道を受験に生かしてもらいたいと思いますが、
世の中の流れが受験に集中するとなっている以上、彼も親もその流れの中で、
力を発揮することになるのでしょう。
ケンタ君が1年間、海外に行ってみることを私は想像します。
剣道ができるような環境のなかで留学してみたら、
彼の世界がとても広がるのではないかと思います。
可能性の発揮方法も広がっている。それがグローバル社会であってほしいと思います。