#3 ボーディングスクール―10年生の学習科目
<水曜日のブログに続きます>
現役、10年生を終えた留学生の学習科目を解説していますが、日本の10年生(高校1年生)が履修する科目と比べて、芸術科目、体育科目、自習時間、生徒との共同での言語学習時間、そして寮生活での評価など、主要な学習科目以外に多くの活動があることに、このブログの読者の皆さんは気付かれたと思います。
芸術活動、体育活動、そして寮生活など、生徒の個性や特性を活かすための学校生活では、それを管理するための人員を確保しなければなりません。また、それらの人々はそれぞれの分野において専門的な知識や技術、そして何より先生として生徒を愛し、伸ばすということに熱心に取り組める必要があると思います。
ボーディングスクールは、中学、高校ともに規模の大小にかかわらず、担任の先生やホームルームというスタイルのクラスはありません。ボーディングスクールでクラスといえば、学年全体を指し、class of 2018といえば、2018年6月に卒業した生徒全体を表します。
クラス単位で学校生活が行われる日本に比べて、ボーディングスクールでは同窓生の和は学年単位となりその数は、小規模の学校で40名、大規模の学校で200名くらいです。そして、先生対生徒の比率は1:10以下になります。
ボーディングスクールの教育の質を支えているのは、先生の多さではないかと思います。
1人の先生が40人の生徒を相手にディスカッションやプレゼンテーションを行うとすれば、その効率は悪く、参加する生徒と参加しない生徒がどうしても出てしまい、それぞれの生徒の意見を求めるということは極めて難しいと思います。
従って、先生は専ら40名程度の生徒に均等に情報を提供し、それを生徒がどれほど理解したかを定期テストによって計り、もって学習評価とすることが日本の教育の伝統であり、その基礎は容易に変えられるものではないと私は思います。
日本では、義務教育が始まると同時に、クラスというのが学校を構成する基本単位となり組織となります。そこから、個と組織との関わりの学習が始まります。ボーディングスクールにおいては、個はあくまでも個として考えられるような教育が実践されているように思います。
10年生の学習科目というテーマから、ボーディングスクールの個に対する学習とその評価を読者の皆さんに少しでも伝えられれば、幸いです。