生徒の視点からみた留学 ― 小学・中学・高校留学
よく留学生のお母さん方は、「私があの子の齢だったら、留学はできなかったろう」と言います。それほどまでに過酷なのが初等、中等教育機関への留学かというと、留学した本人に言わせると、「半年くらいでなれますよ」、「人はみな親切だから」、「おもいきって、話しかけてみることですね」などとかなり楽観的な答えが返ってきます。
E-Conciergeのホームページの動画に出てくれた生徒たちの話を聞けば、彼らの精神の柔軟性とすなおさ、そして異文化に対する対応の早さなどが解ると思います。しかし、アナカン(航空会社による目的地まで空港乗り換えエスコートサービス)つきであるとはいえ、日本を離れることの寂しさや不安は、留学生たちのこころを押しつぶしてしまうのでないかと大人は考えがちです。
「まだ早いんじゃないか」、「大学になってからで十分」、「日本を知らずに海外を知ることはできない」など、両親の一方が反対であれば、留学に向けて動きだすのが、難しい場合も当然考えられます。小学、中学、高校留学が果たして、バーチャルで終わるかあるいが現実の運びとなるのか、その狭間で逡巡しているご家族は、かなり多いのではないかと思います。
学校訪問の5日間ほどで、留学をすることになる生徒はかなり変化します。条件さえ揃えば、みな新しい環境に適応していきます。彼らは5日ほどで英語の挨拶ができるようになります。そして、簡単な英語をピックアップ(理解)するようになります。たかが5日でそうなることに、同行した親も感動します。
留学を決めたとはいえ留学する本人の意思に確固たる理論を求めることはできません。10歳前後の生徒が自らの留学の意義についてよどみない説明ができるということは不自然でもあります。その感覚は意外とのんきなのだと思います。どうにかなるさと思うから、留学できるのではないでしょうか。
この発想がとても重要です。というのも、日本でのきっちりとした教育のなかでは、そのような「いい加減さ」は発想されないからです。
日本で幼少のころから、しっかりとした教育を受ければ受けるほど、子どもたちは精神の柔軟性を失っていくとは考えられないでしょうか。周囲の期待に応えるだけの知識を蓄積すればするほど、彼らが本来持っているいろいろなものに対する興味などが切り捨てられていくのではないかと思います。
つづく