日曜コラム - 教育とクイズ番組
テレビのクイズ番組を見ているとついつい夢中になります。
特に自分が正解を知っている問題が出されると、咄嗟に口走ってしまいます。
番組はたくさんあり、それなりに趣向が凝らされていて、見る人たちを
夢中にさせるようになっています。
出演者も高校生から、専門家、そして芸能人と多種多様です。
知識を問うテレビ番組は日本だけではありません。
タイムショックや「ファイナルアンサー」など、アメリカと日本では
視聴率の高い番組はお互いのネットワークで情報交換をして、
より高い視聴率をたたき出すように関係者の人たちは
知恵を絞っていることと思います。
しかしながら、知識を熱心に追求するということは、
世界の教育界では古い価値観になっていると思わざるを得ません。
「何年に何があった」とか、「何々はどうして起こる」などの質問は、
知識の深さを問うにはとても有効です。そして、深い知識を持った人が
バブル崩壊前の日本を支えるために貢献したということも事実と思います。
しかし、今はどうでしょうか。良いものをより安く提供してきた、
日本の伝統はもはや世界の市場では通用しなくなってきています。
その具体例を私たちはアメリカに見ることができます。
かつては世界を席巻したアメリカの車も電化製品も今は、
日本やアジアの国に追い越されています。
しかし、コンピュータソフトや映像メディアなどは、
まだアメリカが優位を保っているように思います。
その根本には、知識よりも発想力、アイディアなどを重んじる
英語圏の文化があると思います。
日本は今、古い価値観から新しい価値観へ移動する正念場を迎えています。
新しい価値観とは、自ら発想し自ら行動し解決するという主体性にほかなりません。
この個人の姿勢が確立しない限り、知識は役に立たないと思います。
それでも、クイズ番組はこれからもテレビで栄えつづけると思います。
そして、バラエティ番組との共同によってさらにその範囲を
拡げていくことでしょう。
なぜならば、じっくり考え、自分を見つめていくという地味な作業を
テレビで表現したとしても、視聴率など獲得できないからです。
あるバラエティ業界の重鎮が、「生きてるだけでまるもうけ」という
発言をしました。深い言葉だと思います。とても哲学的で考えさせられます。
バラエティ番組もクイズ番組もほんの少しだけ、知識を問う問題から、
これからの日本の方向性を問う問題にシフトするといいと私は思っています。