留学生受け入れのバランス - 小学、中学、高校留学
前週のブログで、留学生の適応能力の素晴らしさを述べました。
学校訪問をしている3、4日あまりの間で、その態度の変化が顕著な10代前半からなかばの生徒たちを見ていると、人間が本来持っている環境適応力、この場合は危機管理能力といってもいいと思いますが、その力に驚かされます。
成績や学業評価などのデータとは全く別に機能している彼らの生きていく力ですが、これは日本から外に出てみることによって初めて本人が気づく「力」であると思います。
今日は、ボーディングスクール側から、留学生の受け入れについて述べたいと思います。
第一に受け入れ校は留学生と母国生徒のバランスを考えます。アメリカのテンスクールズにおいては、留学生が全生徒に占める割合は15%以下くらいに抑えられています。ボーディングスクールの場合、多くても全体に占める留学生の割合が30%以下であるよう、アドミッションスタッフは考えているようです。
第二に留学生のなかでのバランスです。アメリカのボーディングスクールの場合、中国からの志願者が近年圧倒的に多く、彼らを合格させれば簡単に10人、20人くらいの生徒増はできます。しかし留学生の受け入れバランスを無視して一国からの生徒のみを増やすと必ずといっていいほど、問題が起きます。
それらの生徒のクループ化による影のコミュニティーの形成、英語が基本言語なのに、キャンパスのいたるところで、中国語が話されるということへの全体への悪影響などは、ボーディングスクールの運営にとっては致命的といっても過言ではないでしょう。したがって、現在、中国人留学生間のボーディングスクール入学の競争率は驚くほど高く、その影響もあり、留学生全体の合格基準が上がっています。
第三に教える教師陣と学校管理職とのバランスです。留学生の受け入れは、英語圏の学校運営を支える重要な経営的要素であると同時に、異文化を学び、自国の文化も彼らに伝えるという大きな教育的効果が認められます。それ故に、教える側と経営側のバランスが本来、うまく連携し相乗効果を上げるべきなのですが、留学生の安易な受け入れは、教える先生への負担増と寮を管理する先生への負担をかなり増やす結果となります。
ボーディングスクールにおいては、留学生の受け入れは今後、生徒受け入れマーケットの拡大やグローバル教育という視点でより重要になってくると思います。中国人留学生が何年間増加の勢いを維持できるかは、わかりませんが、ボーディングスクールはすでに次のグローバル戦略を当然のことながら考えていると思います。
日本での初等、中等教育の可能性も世界を視野に入れて考える時期に来ていると思います。