ボーディングスクール留学 日米進学校の違い
日本の高校とアメリカボーディングスクールの一番顕著な違いは、その受験対策です。ともに大学進学を目指して運営されているところは変わりませんが、大学受験対策が全く違います。
ボーディングスクールの場合、アメリカ大学入学へのセンター試験であるSATへの対策は学校の正規の授業には全く組み込まれていません。SATの点数がアメリカ大学入試にはきわめて重要ですが、なぜ高得点をあげるための対策をボーディングスクールはしないのでしょうか。それは、SATが数学と英語の基礎学力を問うものだからです。
ボーディングスクールの教育は、英語に関しては広い範囲に及ぶ古典、文学作品、論説などを徹底して生徒に読ませます。また、それらを題材にして、生徒には議論を尽くさせ、たくさんの調査、研究、そして作文も行われます。この学習方法は、いわゆるリベラルアーツそのものであると言えます。
したがって、ボーディングスクールでやるべきことをやっていれば、SATはおのずと高得点が獲得できるのです。そして、事実としてテンスクールズやランク4のボーディングスクールの生徒たちは、SAT対策にはそれほど力を入れなくてもいアビーリーグ校や難関大学に多くの生徒が当たり前のように進学していきます。
ひとクラスの生徒数が15名以下であり、同じ学年の生徒の半数以上が寮に住み、先生たちも学校内の敷地で生活をしているというアカデミックコミュニティー(学校社会)は、暗記を中心にした詰め込み型、大学受験対策のための予備校ではありません。
もしボーディングスクールが四六時中、詰め込み型学習を強要するところであるならば、世界から生徒が集まるほどの人気のある魅力的な学校に発展してはいないと思います。
少人数によるクラスで、教えることに燃えている先生が指導すれば、子どもたちは日々の学習の中から学ぶことの楽しさや、好奇心への刺激、そして親から離れて生活をすることへの意義をも学び取ることができると思います。
SATは日本のセンター試験と違い、何度でも生徒は任意に受けることができて、自分のベストスコアを大学に提出することができます。日本の受験対策的な発想からすれば、中学校3年生くらいから、計画的にSAT対策に取り組み、高得点をたたき出すための合理的対策がなされそうです。しかし、点数の獲得にどのような意義があるのでしょうか。
そのような勉強は、試験が終わればすべてが終わってしまいます。そのために、青春の貴重な時期を使うことは、貴重な人生のなかで、「もったいないこと」と言わざるを得ません。
ボーディングスクールは、生徒たちにを主人公にして、かれらのためになる勉強を貴重な時間と空間を有意義に使うために生み出された学校形態ではないかと思います。